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CHIN WIL (THINK AGAIN) / INTERVIEW

圧倒的な楽曲とライヴ、そして佇まい、駄目押しのグローバルでジャンルレスな活動。


全てにおいて一瞬で夢中になったバンド。それが<THINK AGAIN>です。


最初から僕は彼等を「ハードコア・アイドル」と云い続けています。
語弊がある言葉かも知れませんが、それは「格好良い」と同時に「全てを追いかけたくなる」衝動に駆られるからです。


本当にこう思えたのは久々だった。弊社のイベントに出演して貰ったり、県外でのライヴを観に行ったりとずっと交流を続けていたバンドが、2015年3月28・29日の二日間に渡って開催されたフェス「KAPPUNK」のライヴを最後に、事実上の「活動停止宣言」をしました。


新譜リリースしたばかりなのに…それ以上にコレだけの音楽性と創り上げ、支持を確立しているのに……。


その辺や新譜リリースを踏まえた上で、バンド全体として初のメール・インタビューをドラマーである<CHIN WIL>さんにお願いしました。


Interview.  CHIN WIL(THINK AGAIN)  Interviewer. 遠藤 博美(SIDEMILITIAinc. 代表)


 

・CHIN WIL Official Twitter


・CHIN WIL Official Facebook


 

● 交流は長く続いておりますが、こういった形でのインタビューは初となります。


バンド史上初のサインを強請った男(笑)として色々と聞きたい事は有りますので、今回は宜しくお願い致します。


 

  CHIN WIL


そうですね(笑)インタビュー自体も何度かしか経験がないですが、こういう機会を作ってくれて有難く思います。よろしくお願いします。


 

● 先ずはこれから聞かなければなりません。先日の『今後は暫くライヴを控える』…事実上の活動停止とも云える発言です。


<THINK AGAIN>を知ってる方だったら誰もが驚いた筈ですし、僕自身は『コレだけ活発に止まらず活動を続けていたので、今年1年は一旦休み充電するんだろう』と捉えているのですが、事前の各メンバーとの電話でのニュアンスでは、それと違う様な印象を持ちました。


音源は製作するけどライヴを減らす/ツアーでは無く単発のライヴだけになるのか?


それとも先程書いた様に「無期限の活動休止」なのか?


話せる範囲で良いので、理由などを教えて頂けますか?


 

  CHIN WIL


活動において今のところ言えるのは、この先のライブが一つも決まってないという事だけです。


「無期限の活動休止」という表現が近いかと思います。


理由は色々なので、ザックリとしか言えませんが、三人の向かっている方向がそれぞれにバラバラだった為、止まる事になりました。


音源を作ったりする事もありませんし、ライブも入れる予定はありません。


また時間が経てば何か変わるかもしれませんが、変わらないかもしれません。


 

● 時系列がバラバラになりますが、次はバンド自体のベーシックな事を。


因に僕はこんな感じのオーソドックスな質問をした事が過去に無いかもですが…バンド名についてです(笑)


<MINOR THREAT>や<COCK SPARRER>の名曲でも同名が有りますが、由来って何なんですか?


 

  CHIN WIL


これは元々3人で初めてスタジオに入った時に、バンド名どうしよっか?って話してて、わかりやすい言葉で意味深い言葉が良いねって話をしてて。


で、色々探してた時に<MINOR THREAT>“THINK AGAIN”という曲に辿り着いた感じですね。


 

● 2009年にCDーR「THINK AGAIN」を最初の音源としてリリースしておりますが、結成自体は何時頃?


そして、どんな音楽を目指していたんですか?


その頃の音楽性はCHIN WILさんから今、考えると違いますか?


 

  CHIN WIL


結成は今7年目なので2008年頃ですかね。当時も今も特に見据えてた音楽性っていうのはあんまり無かったですね。


芯の部分は日本のハードコアパンクが好き!ってトコなんですが、結成当初はもっと衝動的だったかなぁとも思うし。


逆に今は衝動だけじゃなくて、音楽としても幅が広がったり、やれる事が増えてきて、もっともっと”音楽”という部分も意識しながら試行錯誤してやってます。


 

● そして僕が知った最初の音源である2011年のファースト・ミニアルバム「PROGRESS FOR FUTURE」です。


本当に衝撃でした。10代の時に日本のハードコアに出逢った時と同じ位に夢中になりました。 それ位にピュアな衝撃でした。


有る意味では継承しつつ、有る意味では全く新しい日本のハードコアだったと思います。


このアルバム以降はよりハードコアの側面が強く出ており、メンバー全員の幅広い音楽趣向のバランスがこの作品ですと、均等に感じれます。


だからこそ、未だにあの作品が「最高傑作」と捉える方も多い筈です。
ですが、それ以降の音源とは明確に違います。


あの音源についてリリース時と今の捉え方は違いますか?


後はファンにとって重大な質問です。


僕も何度もメンバーにお願いしているのですが、再発はしないんですか?現状でのプレミア価格が凄い事になっているのご存知ですか?


 

  CHIN WIL


ありがとうございます。そんなに言ってくれる人もなかなかいないです(笑)


当時まだ曲もそんなに無かった頃に正明さん(FADE-IN RECORDS/SYSTEMATIC DEATH等)に「一週間でアルバム作れるなら出してやる」っていう有難い無茶ぶりを「やります!」って受けて作る事になったんですよ(笑)


当初の予定ではレコーディングは一日で。


結局は歌録りとかで二日間くらいかかりましたけど、でもそんな急な展開だったので、ある曲ではレコーディング当日にスピードが早いバージョンと遅いバージョンをレコーディングしてどっちか良い方を採用!とかしてましたね(笑)超バタバタでした。


再発に関しては、しません(笑)値段が上がってるのは多少聞きましたけど、嬉しい事だとも思うし、あまり関係のない事とも思ってます。


色々な考えの人がいるけど、聴きたい人が持ってる人から貸してもらったり、コピーしたり、現物が欲しい人が高い額を払って手に入れたり、、、俺は全部ひっくるめて音楽の面白さだと思ってますね。


友達んちで聴いたレコードが忘れられないとか、借りたCD無くしちゃって代わりに自分のお勧めのCDあげるとか(笑)、そういうのも良い思い出になるし。


コピー絶対反対!とか、バンドをサポートすると思ってCDを買ってくれ!とか、俺からしたら言い訳にしか聞こえないんですよ、バンド側の。やべー音源は絶対現物が欲しいです。少なくとも俺は。


 

● そして次はファースト・フルアルバム「NEVER」です。この作品は現在に至るまでの音楽性に繋がる作品ですが、最も「重く」更に「攻撃的」な作品でも有ります。


一つはやはり「東北地方太平洋沖地震」が有ると思います。
そしてもう一つは、何かしらの反動が有ったのか?と個人的には感じていたりもします。


それはツアーと共演したアーティスト達の影響も勿論有るだろうけど、前作をリリースした反響を踏まえた上での自分達の楽曲に対する見え方や聴こえ方の微妙なズレを感じたのかな?とも。


僕個人としては其れくらいに違いを前作と感じます。その辺を教えて頂けますか?


 

  CHIN WIL


特に何か話し合ってそうなったわけじゃないので、当時の気持ち的にはあまり変わってなかったんじゃないですかね?


ただ、東日本大震災は俺にとって本当に大きな出来事だったんです。


綺麗事でもなんでもなく。今まで歴史上の出来事で、阪神淡路大震災とか関東大震災とか、知ってたんですけど、きっと自分の中で全然実感なかった。何故だか身近に思えなかった。


だけどなんかこの時は違ったんです。なんかしなきゃって思って。


で、なんかしてみたら色々見えてくるモノがあって、協力してくれる人の声や批判してくる人の声、無関心な人の声、色んな事が見えたんです。
別に何かしたから偉いとか、そういうんじゃなくて、もっと損得勘定抜きの心の底の部分の話で。


それで俺は今までライブで、MCっていうか、何か話をするって事をしてなかったんですけど、もしかすると何か出来るんじゃないかって、何か変えられるんじゃないかって、そう思ったんです。


そこから歌詞もそうだし、ライブでも、話ひとつ、言葉ひとつでも、見てる人、聴いてる人に、賛成でも反対でも何か考えるきっかけを作ろうと思って、色々やっていくうちに自然と変わっていったと思いますね。


 

● PIZZA OF DEATH RECORDS主催イベント「SATANIC CARNIVAL'14」に出演や、ツアーで共演するアーティスト含めて、本当に「クロスオーバーな活動」が目立つバンドです。


実際に過去にも何組かは存在したと思いますが、これ程に結果を残して、各ジャンルのファンを巻き込みつつ、信頼/好きな側面を裏切らない(※ここが大事です)バンドはいなかったと僕は思います。


こういった活動はバンドにとって目標だったり目指した事だったんですか?
また、その理由って何だったんですか?
「本物の日本のハードコア・シーン」をこれだけ広めたのは大袈裟では無く「偉業」だと思ってるんですが。


 

  CHIN WIL


元々俺らは「日本のハードコアパンク」が好きなだけで、このシーンに飛び込んでやってたんです。


俺らは外見とかも別に分かり易くパンク!って訳じゃないし、ゴチャゴチャ言われる事も、色眼鏡で見られる事も珍しくない(笑)


でもそれは基本的にはどうでも良くて、ヤバい事やってる奴が1番って思ってるんですよ。ライブに関しても活動に関しても。


で、俺らの周りにはジャンルが違っても気合い入ってる人がたくさんいて。


月並みだけどやっぱり良い音楽ってジャンルは関係ないし、周りにカッコいいと思える仲間がたくさん居るから一緒にやっているだけって意識なんですよね。


特にこういうバンドの活動の仕方をして行こうって決めてやっていたわけではない、結果こうなっていたというだけですね(笑)


ハードコアパンクを広めようなんて微塵も思ってないですけど、仲間が増えたり見に来てくれる人が増えるのは単純に嬉しいんで、俺らがそのきっかけになれるなら悪くないですね。


 

● それにしてもメンバーが見事にヴィジュアル含めてバラバラな個性を見せつけてくれると思います。有る意味では常に「喧々諤々」なんじゃないか?


いつ崩壊してもおかしくないんじゃないか?って位に個性が有ると思います。
ご自身を含めて、3人の全く別な部分。


そして3人が一番共通してる部分を教えて貰えますか?


 

  CHIN WIL


まあ、それがこういう結果に(笑)とか言わなくてもいいっすか?(笑)


3人とも全然違いますね。むしろ共通してる部分が無いんじゃないかってくらい。頑固なのと目立ちたがりなのは全員共通してるかも(笑)


 

● 僕は限度を超えた幅の広過ぎる音楽ファンだと自負していますが、『一番好きな音楽シーンは?』と聞かれたら、「ハードコア」だと答えると思います。<THE BEATLES><DISCHARGE>を同等と思っているので。


で、そのハードコア・ミュージックで最も格好良いバンドが多いのが「日本」だと思っています。 特に今の時代ではロックとしても稀になった「恐い部分」を含めて、格好良いなと思います。


海外バンドの恐さとの違い、そして母国語を度外視しても歌に込めた感情の表現が突起していると思います。


CHIN WILさんにとっての、日本と海外のハードコアの違いを教えて下さい。


 

  CHIN WIL


正に俺も同じように思ってますね。だから日本のハードコアパンクは最高にカッコいいんだと思います。


海外との違いってなんでしょうね?単純に国民性とか絶対数、環境による違いはあるでしょうけど。


でも、どこの人も基本的には一緒だと思います。


ほぼギャングみたいな極悪なバンドもいますし、驚くくらい真面目なバンドもいますし(笑)


なんか頭では色々思ってたんですが、ヨーロッパ行ったり、海外のバンドと接する事で「誤解してたなぁ」なんて事も多かったですしね(笑)みんなあんまり変わらないのかと。


 

● 次はバンドとしてと云うよりは、一人のアーティストとしての質問です。


CHIN WILさんはバンドとは別で「被災地支援プロジェクト:PAY FORWARD」の活動を続けています。


CHIN WILさんからみて、今の現状はどう感じているですか?


そして物とか以上に「何が足りない」と感じていますか?


ファンの皆が考えに賛同して力になりたいと感じたら、例えば何が有ったりしますか?


多分、今の時代は自分で考えるのが不得意な方も多くいると思うんです。だからこそ提案して欲しい人も多いと思うんです。


 

  CHIN WIL


なるほど。正直に言わせてもらえば、最近は被災地へ行けてないです。活動も出来てません。


言い訳はしたくないのでゴチャゴチャ言いませんが、今は自分の事で手一杯な状況です。


なので、実際に「何が足りない」っていう問いに対して明確な提示は出来ないかもしれないです。


でも一つ、隼人(MEANING/NO EXCUSE)と一緒に被災地へ足を運んで色々とやっているうちに、「なんでもいい」んだという事を感じました。


これは問いに対する答えにならないかもしれないけど、たぶんこの被災地に対して、そこに住む人達に対して、やる事に正解も不正解もないと思うんです。


人間が100人いれば100通りある様に、良い気分になってくれる人もいれば嫌な気分で文句言われる事も無くはないんです(笑)


気持ちを持ってそれを形にして表現する。この行為に対して、言ってしまえば「全てが正解」だし「全てが不正解」だと思うんです。


だからたまにこういう風に「なにをすればいいんだ?」と聞かれる事もあるんですが、自分が「これはどうかな?こんな事やったら喜んでくれるんじゃないかな?」って事をやればいいと思います。


やってみればそこに反省点とか改善すべきトコとか、色々見えてくるんです。やらないで机上の空論しててもあんまり意味ないんで。とりあえず何でもそうですけど、やったらいいと思いますよ俺は。


 

● 既に僕がCHIN WILさんがドラムを叩く<VVORLD>の活動も気になっていたりしますが、今年<THINK AGAIN>を好きになった方も多いと思いますし、先程書いた様に<THINK AGAIN>で初めてハードコアを好きになった方も多いと思います。


そんなファンを含めて、読んでくれている方々にメッセージを頂けますか?


 

  CHIN WIL


とにかく関わってくれている人達にはいつも感謝しています。


音楽は表現方法の一つに過ぎないかもしれないけど、やっぱり一人でやっててもつまらないし、お客さんという意味だけじゃなくそこに集まる人が多ければ多いほど面白い事がたくさん生まれると思います。やれる事も増えます。


THINK AGAINは止まりましたが、個人的には、VVORLDでもそうですし、ソロもやろうと思っていますので、ずっとドラムは叩き続けていきます。


面白いと思った事を追求していきたいし、もっともっと音楽が身近なモノなんだという認識になればなと今は思っています。


日本ではどこか形式ばった感じになってしまうのがやっぱり違和感を感じています。


ライブひとつとってもそうです、好きな様にやったら良いんです。くだらないルールが多すぎる。


音楽ってもっと自由なもんだと思います。


その辺のモノを叩いても、足踏みしても、声を出しても、音楽に成ります。


「ライブ」って言ってみんなで集まって遊ぼうとしてるのに、なんかお客さんがバンドを見せられてるイメージだし、バンド側もその枠にハメようとしてるイメージです。


お客さんはお金払ってんだし、もっと好きな様に見て、遊んだら良いと思うんですよ。


そこをもっと感じてもらえるような面白い事やっていきたいし、それが広がればお客さんとか出演者とか、そんな垣根が無くなって一人一人が表現者になれると思うし、そうなって欲しいなぁといつも思います。


 

● 今回は有り難う御座いました。


それにしても何だかんだでお付き合いが4年位になりましたね。


本当に出逢えて良かったと思えるバンドで有り、アーティストだと思っております。


僕はCHIN WILさんを、一人の人間として大好きです。ミュージシャンじゃなくても、そう思った筈です。


最後の我が侭な質問ですが、僕の印象って最初はどんなでした?(笑)そして今はどんなですか?(更笑)


<THINK AGAIN>の再始動をずっと待ってますね!!


 

  CHIN WIL


ありがとうございます。


博美さんの最初の印象は、変わった人、です(笑)ってのは半分冗談ですけど、純粋過ぎて変な人だなぁと思いました(笑)そして今もそのイメージは変わってないです。


だから好きだし、結構な無茶振りにも最大限答えてるつもりです(笑)


さっき「お客さんと出演者の垣根を無くして〜」って話をしましたが、正に俺にとってそんな人です。面白い事を常にやってるし、やろうとしてる人ってイメージですね。


これからもよろしくお願いします(笑)!ありがとうございました!


 

<あとがき>
以上になります。


メールでのインタビューになりますので、解答に対してもっと突っ込みたい部分も有りましたが、それはまた次回にと思っています。


無期限なので二度と観れないかも知れませんし、数年後に観れるかも知れません。


ですが、少なくとも僕は観れた事や自分のイベントに呼べた事を自慢出来るし、ファンの皆さんも同じだと思います。


そして再始動と同じ位に3人の新しい活動も楽しみにしております。


 



 

 

 

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