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CULTURE / カルチャー

SHANE EMBURY (NAPALM DEATH) / INTERVIEW

このバンドが生まれていなければ、今のミュージックシーンはなかっただろう。現在も影響を与え続けるNAPALM DEATHが登場!!


Interview. Shane Embury (Ba) Interviewer. 遠藤博美(SIDEMILITIAinc.代表) All photo. Masayuki Noda


 

・NAPALM DEATH Official Web Site


・NAPALM DEATH Official Twitter


・NAPALM DEATH Official Facebook


・NAPALM DEATH Official Instagram


 

遂に「僕の人生を変えたアーティスト」とのインタヴューになりました。 それは、もう凄い衝撃でしたよ。


だって最初に聴いた時に「天地が逆転」して気持ち悪くなった位だから・・・(笑) 背筋を伸ばしてプレスルームに行くと、そこには・・・


 

● (暫し呆然中)・・・先ずは14歳で貴方達の1st〜2ndアルバムを体感して、もう21年も経ちますが、 未だに影響を与えてくれている事に感謝しています。 本日は宜しくお願い致します。


以前に実は自分のイベントに出演してもらった「S.O.B」の紹介で、お逢いさせて頂いた事はあります。


シェーンさんは会場をウロウロしていて居なかったので、他のメンバーと対話させてもらいました(笑)


 

  SHANE


OK・・・(苦笑) 宜しく。


 

● 〈NAPALM DEATH〉には音楽的な影響だけでは無く、アートワーク等の「ヴィジュアル的な趣向」も形成させてもらいました。


僕はファッション業界に身を置いているのですが、多くのデザイナーにも影響を与えていると思います。


初期の頃から有る、アートワーク等の拘っている点を教えて頂けますか?


 

  SHANE


〈NAPALM DEATH〉の1番最初のアルバムジャケット、実は「Jeff Walker/CARCASS」が担当していたんだ。


その彼のアートワークが、後の「NAPALM DEATH」のスタイルを決めたと思う。


僕等が歌いたかったのは「企業に動かされている社会」/「その社会が抱える問題」そういった物を訴えかける音楽であり、アートワークであって欲しいって言うのが根本にあるんだよ。


その「イメージ」の根源として有ったのがイギリスのドキュメンタリーシリーズ〈THREADS〉と言うのが有るんだけれど、それは「第3次世界大戦に対する恐れ」を描いた物なんだけれども、『このままでは放っといたら、こうなってしまうぞ!』と言う様な感じになっていて。


そのドキュメンタリーが見せている映像ってのも、僕等のアートワークに「ヒント」を与えていたんだ。


僕等はバンド名でも解る通り、本当に訴えたいのは「ANTI WAR」の姿勢なんだよ。


そういう所が1つ1つのアートワークに織り込まれていると僕自身思っている。


後に僕やギターの「Mitch Harris」もやるようになって、アートワークの面で「凶暴」みたいな物も訴える様になって来ているね。


自分達をコントロールしようとする「力=陰謀」みたいな物への対する反発という事があるから、どうしても僕等のアートワークは「ダーク」になりがちなんだよ。


あとは「Robert Middleton」がアートワーク製作に参加する様になって、彼は僕等の持っている「音楽性」や「社会的な背景」を凄く解ってくれていて、そういった事をきちんと僕等のアートワークに織り込んでくれている人なんだよ。


彼が言いたいのは「奴隷制度」だったり「不平等な結婚」を強いられる人が世の中には沢山いたり、『そういう物を良しとしている伝統的な価値観を今もって評価しなくてもいいんじゃないか?』っていう事。


その様な問題定義も最近のアートワークに織り込まれて来ているよ。


 

※Jeff Walker・・・初期メンバー「Bill Steer/FIREBIRD」と共に立ち上げた伝説的バンド<CARCASS>のボーカル/ベース担当。このデザインの件は知らなかったので凄い驚きました!!因みに<CARCASS>のバンドロゴデザインも彼が手掛けているんです。センスが素晴らしい。


※Robert Middleton・・・バンド<DEVITED INSTINCT>のギター/ボーカルの活動もしている方です。 ジャケットデザインが<NAPALM DEATH>と同じ方だったので、以前から気になっていました(笑)かなりマニアックなイギリスの「ダークハードコアバンド」です。 現在は「MID」とも呼ばれています。


 

● 音楽的に「ヘヴィ」を感じるところは「速さ/メッセージ/重さ」等の様々な要素が有ります。


当然ですが〈NAPALM DEATH〉には速さについて聞かなければいけません。


「若き自分」と「現在の自分」で、「音の速さ」についての「感じ方/思い方」って変わってきましたか?


 

  SHANE


確かに僕等の場合も90年代半ばに「FASTな楽曲」から少し離れた時期があって、その時は「ミドル・テンポのギターリフ/楽曲」が、より音楽をヘヴィにすると感じていたんだけど、90年代終わり頃から現在にかけて、また「FASTな楽曲」に戻って来ている。


やはりヴォーカル含め全ての楽器が、全速力で演奏している時だけ感じる「激しさの凄さ」ってのは絶対に有ると思って、そこに戻って来ている様な気がする。


僕達が聴いていた音楽がみんな「FASTなナンバー」ばっかりだったから、『自分達はもっとFASTな物を作っちゃえ!!』って感覚だったんだと思う。


『4分かかる曲を3分25秒で終わらせたらどうなる?』っていう。そんな感覚だったんだよね、当時は。


 

● 僕自身は「音楽のシーンを変えたアーティスト」と〈NAPALM DEATH〉に対して思っています。


そんな事って「アーティスト」ってコレだけ存在する中でも「ほぼゼロ」に等しいです。本人として自覚の有る無し関係なく、どうお考えですか?


 

  SHANE


確かに周りからは、そういう風に言って貰えるけれど、僕からしてみると「アメリカ/ヨーロッパ」にも僕らが出てくる以前から、似た様な事をやっていたバンドは結構いたんじゃないかと思う。


もちろん「スピード」においては僕等ほど速くなかったかも知れないけれどね。


それよりも僕等の特徴は、元々のドラマー「Mick Harris」 が「インダストリアル・ミュージック」の背景を持っていたので、それが「音楽性に導入していた」っていう部分に対して他のバンドとのなんじゃないかな?


要するに「ノイズ」が僕等の中で評価されたと言うか。


例えば〈SWANS〉見たいな。〈SWANS〉の“missing foundation glory”っていう曲があるんだけど、実はあれは全然メタルじゃないんだよ。


だけど、「あのノイジーさ」に「ハードコア」も「メタル」も全部ぶち込んだ、それが多分「僕等の音楽」だと思う。


それを当時僕等は全然普通にやっていた。それを周りが聴いて『あれは何だったんだ?』思うのは良く解るんだけれど、自分達はその音楽が「何処から来たかを解っていた」ので何も変わった事をやったつもりは全く無かったんだよ。


 

● まだ途中なんですけれど「ドキュメンタリー番組」の中に居るみたいで凄く興奮しています!!


 

  SHANE


OK(笑)


 

● 歳を重ねてから気付いたのですが、平和になる方法は、実は時間もお金も要らないくて、ただ全人類が「ネガティブな気持ちで人を傷つけない」と考えるだけで良いと思ったんですね。


どう考えても全人類が仲良くはなれないと思います。


それこそ趣味趣向/合う・合わないが有っても当然だし、僕も苦手な人や事柄は有ります。 「ポジティブな対比」は仕様が無いです。


しかし、ネガティヴな争いは耐えない世界です。


そんな傾向で世界は今、日常ですら「ネガティヴなキャッチボール」ばかりで、「ポジティヴなキャッチボール」を誰も好まない傾向になってきていると思います。 シェーン氏はどうお考えですか?


 

  SHANE


ある意味「マスコミ」が、ある世の中において『プロパガンダ的(宣伝)に面白いか?』/『テレビに何を乗っければいいか?』っていう部分で、反響の事だけを考えると「ポジティブな面は興味を持たれない」からだと思うよ。


イギリスでも可笑しくて、自分の国の状況に対して文句を言う人は大勢いる。ただ、文句を言いながらも実はその状況に見入られているんではないか?って人が沢山いるんだよ。


『そういう状況があります』それじゃあ何かをやろう・・・例えば『チャリティー活動をしよう!!』とか一般的にはなるよね。


でも、そういう時になると決まって1番最初に顔を背ける奴は誰だっていえば「文句を言っている連中」なんだよ。(苦笑)


『僕はそんなポリティカルな事はしません』とか言ちゃったりしてね。


人間って腹を立てるって事は簡単に出来る事で、どうも『大昔、誰がウチの国にこんな事をしました。』みたいなどうでもいい事を巡って、折角ヨーロッパという大きな共同体があるのにも拘らず国がバラバラになってしまい『手を繋ごう!』っていう大事なファクターの方に向かない現実が有ると思う。


人間は本来、ほっといたら本能的に『隣の人と手を繋ぎたい』筈なのに、そういう「シンプル」な事が忘れられていると僕も思うんだよ。


 

● その通りですよね。政治家の「意味のない理由探し」みたいなのには、本当にうんざりします。


続いての質問は、奥さんが日本人など日本と繋がりが深いシェーン氏ですが、日本の「格好良さ」/「凄さ」ってなんだと思いますか?逆に今、日本が「失っている物」は何だと思いますか?


 

  SHANE


まず僕としては、どんな国に対しても「ネガティブ」な事を指摘するには、実際にその国に暮らしてみなければ言う資格は無いと思っているから、それを前提に言うんだけれど。


僕は日本に来ても精々3週間位しか居た事が無くて、居る間は家族や友人と過す事が多いから、そうするとイギリスで色んな支払いに追われて暮らしている日常に比べれば「夢のようなひと時」を過してしまうので、とても生活者としての物を言える立場には無いよ(笑)


ただ、やっぱり日本に来ると『ピースフルだな』って凄く感じる。


昔に比べると『少しペースが早くなったな』とは思うけれど、そのペースの早さもまた良いと僕は思うし、日本の「能率の良さ」はイギリスにはない物だと思うからね。


もし半年〜1年住んでみたら、また違う感想を持つかもだけれど、現状日本来るとやりたい事や楽しい事で頭がいっぱいになるからフェアーじゃないかもね。


こういう楽しい気持ちになるのはアメリカでもヨーロッパの他の国に行っても何故か起こらないんだけどね。


 

● 次は僕の中でも大事な質問なんですけれど、バンドとしては82年からの長い活動をしている<NAPALM DEATH>。


僕も97年から活動を始めて13年が経ちます。


僕にとって一番の恐怖って「妥協/無難」って事です。常に陰でコチラを見つめている感じがします。


シェーン氏にとって、活動を長く続ける事での付きまとう「恐怖」って何か有りますか?


 

  SHANE


僕も結婚して自分だけじゃなくて2人になって、ある意味プレッシャーなんだけれども、今は凄くサポートを得ている感覚なんだよ。


実は数年前「不安」を抱えていた時期を乗り越えてしまったんだ。


その時点で『僕が1番得意なのは音楽なんだ。』って事を悟った気がするんだよ。


もちろんこの先『50歳、60歳になってどうなるんだろ?』って言う不安は常にあるよ。


だけど自分のやりたいのは 「音楽を作る事/クリエイティブでいる事」で、その為に僕には〈NAPALM DEATH〉以外の音楽プロジェクトが沢山あって、それを出来るだけ長く続けて行く事。


それでギリギリでもいいから生活していければ自分は満足なんだよ。


勿論、このままでは大金持ちになれる筈は無いってのは解っている、けど「自分に嘘を付かずに楽しめる」って言う部分を追求していけば何も不安は無いだろ?


凄く漠然な言い方かもしれない、いつか自分の考え方が変わるかも知れないけれど、僕には長くやって来た中で業界に友達が沢山いる。


そういう人達の交流を経て 音楽的な枝葉をこれから伸ばせて行ける事もあるかもしれない。


もしかしたら音楽性に拘らず、『音楽をやっていて楽しいんだ。』という気持ちに忠実にやっていって、家族の気持ちの支えがあれば音楽をやって行く事は決して難しい事じゃないと今は思う。


勿論お金の為にやっていれば、どっかで駄目になるとは思う、でも「楽しさを追求する」事で僕はやって行けると思う。


 

● ありがとう御座います。僕も今の言葉で力が出ました!


僕は今この様な活動をしていて「したくても出来ない人」/「出来るのにしない人」達への「動く切っ掛け」になったら面白いなと思ってやっているんですね。


これを読んでいるそういった方へも何か感じさせた内容になったと思います。


 

  SHANE


「したくても出来ない人」、「出来るのにしない人」って正にその通りだよ。


僕自身も幸運に恵まれて此処まで来れたと凄く思うんだけれど、アルバム〈scum〉を制作していて、A面を録ってからB面に移る時に、凄く自信を失ちゃって(笑)メンバーの「Bill Steer」に励まされたっていう経緯が実は有ったんだよ。初めて話す事だけどさ(笑)。


今考えても、19歳の頃に<NAPALM DEATH>に加入して、その学生の頃から『何やりたいんだ?』って聞かれたら『バンドやりたい!』って言って皆に笑われてね・・・って言う所から始まり、沢山の挫折を繰り返しながらも、此処までこれた事を「凄くラッキー」だったと思うよ。


そこで忘れたくないのは、自分を励まし、影響を与えてくれたバンドへの「リスペクト/敬意の気持ち」は忘れちゃいけないと思う。


あまり自分の事を事細かに分析する必要は無いけれど、自分がどうして此処まで来れたのか?といった部分だけは忘れたくないし、あとは「希望を持ち続ける事」だよね。


さっきキミが言った言葉通りなんだけど、僕の友人で<ONCE IN TERROR>っていうバンドの「ミッチ」って奴がいるんだけどさ、いつも『日本に行きたいんだよ!!』って言いながら、いつまで経ってもアルバムを完成させないんだよ。


『アルバムを作れば、日本に行けるチャンスあるかもしれない。


いいから黙ってアルバムを作れよ!』って言っているのに全然動かないんだ(笑) そんなモチベーションを間違ってる奴って必ずいるもんさ(笑)


 

● 早くリリースして欲しいもんですね(苦笑) これを読んで初めて<NAPALM DEATH>を知った人達/これを読んでいるファンの方にメッセージを頂けますか?


 

  SHANE


皆に言いたいのは、まずは興味を持ってくれた人への感謝だね。


そして応援してくれている人へは、勿論キミ達がいてくれたから此処までやって来れた訳で、願わくば向こう10年間、君達の応援があれば続けて行けるかも知れないからさ(笑)そこまで僕達の音楽を愛してくれれば本当に嬉しいよ。


有り難う!!


 

● 僕は10年後も20年後もあなたの音楽を聴き続けますから、ご安心を(笑) 最後は今日のインタヴューの感想を「マニュアルなお世辞」無しでお願い致します。


 

  SHANE


そうか、約束してくれるかい(笑) キミとの会話は凄く興味深かったよ。


いつも聞かれない様な質問がいくつも飛び出して来たから「良い意味」で驚かされたし、ちょっと僕自身についても「色んな事」を考えさせられたし、「気付く事」が沢山有った気がするよ。


有り難う!! 考えるってのは常に良い事だからね(笑) 僕ちゃんと答えられてればいいけどね。


 

● おこがましいと思いますが、完璧だったと思いますよ。


有り難うございました。


 

<あとがき>


といった具合に終了しました。


印象的だったのは「僕の目をずっと見て話してくれる」事です。


吸い込まれそうでした。 後はやはり英国紳士だった事です。


フォト撮影中に『夢が叶ったようです』と伝えたら、『僕もそんな風にこれからも思ってもらえる様に頑張るよ。


キミに対しても、同じ様に思ってくれている人が必ず居る筈だから頑張らないとね』と優しい口調で答えてくれました。


返す言葉が見当たりませんでした・・・彼らに出逢えた事に感謝です。


『これ以上、影響を与えないで〜!!』(笑)


 

























 

 

 

 

 

 

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