RALEIGH / ラリー(RED MOTEL / レッドモーテル)
“SPACE RENDEZ-VOUS” TWO-TUCK TROUSERS (GRAY / Wide Tapered)
¥34,980円(税込)
1:今回のインタビューを受けて頂き有り難う御座います。HIP-HOPのアーティストは弊社だけでなく一般的に第3次ブームと云われる現在でもインタビュー自体はROCKのアーティストに比べてたらやはり少ないと思います。
ルーツ含めて時系列で順に質問させて頂けたらなと思います。宜しくお願い致します。
ST-LOW:いつもありがとうございます。宜しくお願いします。
2:先ずはHIP-HOPの初体験などをお聞きしたいのですが、先ず音楽自体に対して本格的にのめり込んだと思うアーティストがHIP-HOPでしたか?それとも別のジャンルでしたか?
私自身も音楽自体の経験や記憶を辿れば【 中森明菜 】【 薬師丸ひろ子 】【 ガロ 】などのシングルで叙情性の高い国産ポップスや、
ラジオ番組内でオンエアされた【 MICHAEL JACKSON / マイケル ジャクソン 】や【 THE BEATLES / ビートルズ 】などの同じくマイナーコードの楽曲を録音してた記憶が有りますが、
それでも「のめり込んだ」ってはっきりと云えるのは中学一年生に偶然聴いた【 METALLICA / メタリカ 】だったりします。
無意識で求めていた「暗過ぎる」「速過ぎる」音楽が有る事を知り、もう決定的に人生が変わった瞬間でした。
ST-LOWさんにはその様な決定的なアーティストとの出逢いは有ったりしましたか?その理由などを具体的に教えて頂けますか?
ST-LOW:高校生になったときに高校の合格祝いでもらったお金でギターを購入したんです。
それまで【 B'z 】だったり【 CHAGE & ASKA 】だったり【 スピッツ 】だったり【 Mr.Children 】だったりとかごく普通の当時の中学生が聴いている感じの邦楽でヒットしている、とくに男性アーティストをよく聴いていて。
高校生になったらできればバンドを組んで所謂音楽活動をしたいっていつの頃からか密かに思っていたんです。
それで高校入学と同時にお金も入ってきたし、意を決してついにギターを購入してって感じで。
そしたら高校に入ったらすでにクラスに中学の頃からバンドやってて楽器弾ける奴がいて、音楽好きな奴や楽器やってる奴ややりたい奴とかとつるむようになって、
そんな友人達の影響で【 ブルーハーツ 】や【 X JAPAN 】、【 ユニコーン 】とか【 BLANKEY JET CITY 】とか邦ロックを聴くようになっていき、
当時スマホとか無いしインターネットとか普及してない頃だったので、音楽的な情報を求めて地元のレコード屋だったり服屋だったりとかに行くようになってって、
それから色んな情報を集めていくうちに、よく行ってたショップ店員さんのお勧めとかで当時流行っていたインディーズバンドをよく聴くようになりました。
【 Hi-STANDARD 】とか【 THE MAD CAPSULE MARKETS 】とかから入ってメロコアとかハードコアとか。
そこから影響受けまくって全然弾けもしなかったですけどギターのコードを練習したりして(笑)
そんなこんなしてたんですけど高校在学中は結局バンドを組めなかったんで、服屋や雑誌の情報を頼りにひたすらインディーズバンドをDIGりまくっては聴いていました。そんな中でいつの間にかそういったインディーズシーンにめり込んでいきました。
バイトしては欲しいCD買って、あとバンド関係のドメスティックブランドのやたら高い洋服とか頑張って買ったり(笑)
HIP-HOPってか「日本語ラップ」に本格的に触れたのは大学に入ってからで、
高校を卒業して沖縄を出て九州の大学に入ったんですけど、そこで出会った学科の友人達とようやく念願のバンドを組んで小さなライブハウスとかで友人の友人が企画したイベントに何度かLIVEとか出してもらったりしました。
で、大学なんで色んなジャンルの人がいてバンド仲間だけでなく「ダンサー」だったり「DJ」やってるって奴だったりいわゆるクラブで活動してる奴らとかもいたりして、その中にいた友人の1人にある日『これすごくカッコいいから観てごらん』ってビデオテープを貸してもらったんです。
それが【 さんぴんCAMP 】( 1996年7月7日に日比谷野外音楽堂で開催されたヒップホップイベントVHS ) で、地元が沖縄なんで基地もあるし外国人が聴いてる音楽としてHIP-HOPというか「ラップ」っていうジャンルはなんとなく知っていたんですけど、その【 さんぴんCAMP 】のビデオを観て日本語でがっつりラップしている人達がいるっていうのを目の当たりにしたんです。
それまで日本語のラップで「DA.YO.NE」( EAST END × YURI )とか「今夜はブギーバック」( 小沢健二 featuring スチャダラパー ) 位は知っていたんですが、なんかこう外国人がやってるような感じのヒップホップを日本語でやってる感じというかなんというか、見た目のイカつさやハードさだったりメッセージ性とか力強さみたいなのにインディーズバンドを聴いて感じるそれに近い衝撃を感じたというか。
特定のアーティストがきっかけでって訳では無いんですが、それから興味を持ちだしてあれこれ友人が勧めてくれた日本語ラップを聴いてるうちに日本語のラップにのめり込んでいきました。
3:HIP-HOPに一番惹かれた部分って何だったりしますか?
私自身はMETALやHARDCOREなどのROCK全般からBLUESやSOULなどのBLACK MUSIC全般へ。その後にデトロイト中心のTECHNOとHIP-HOPへ流れていきました。
単純によりシンプルなリズムのループに、様々な音楽を好きになる理由である一般的とは違うイレギュラー感。つまり異質な存在としての「NAUGHTY ONE / 不良感」がとても重要でした。勿論洋楽の方から入ってるのでリリックよりもトラックから感じるその要素です。
ST-LOWさんもHIOP-HOPの魅力を以前よりは幅広く捉えてるとは思いますが、未だに変わらない一番の部分は何だったりしますか?
ST-LOW:僕の中ではHIP-HOPの音楽だけじゃない全般的なカルチャーだったり、自分自身の生き方の芯の部分の「在り方」みたいなのには拘るカッコよさみたいなのに惹かれます。
自分の考えるカッコいいと思う好きなことを表現したり、続けたりしていく中でのアイデンティティというかオリジナリティというか、そういうのを自分なりに突き詰めていくやり方というか。
勿論、それはどんなジャンルにも当て嵌まる事なんだとは思うんですが、僕の場合はHIP-HOPの曲やファッションやカルチャーや雰囲気も含めたそういった部分から受けた影響からカッコよさというか。
やはり若い頃はHIP-HOPの不良性にものすごく惹かれました。
日本語のラップがHIP-HOPの入口にはなったんですが、あれこれ聴いているうちに本場U.S.のHIP-HOPのカッコよさにハマっていって。
ラップ始めた当時あっちで発売されているレコードのB面のインストにのっけてラップしてたので、あれこれレコードも買ったり先輩のDJに教えて貰っていくうちに楽曲だけじゃないあっちのラッパーのライフスタイルだったりファッションだったりと。
大学に入ってバンドやって、それから日本語ラップにハマってターンテーブルとかバイトして買ったりしてたら色々音楽とか服作りとか今直ぐにでもやりたくなっちゃって大学も2年で辞めちゃって沖縄に帰ってきて、それからHIP-HOPのインポートショップで働きだしたんです。
そこは基地から来る米兵のお客さんとかも多くて、そういった環境にいたらいろんな知り合いもできて、あの頃は若かったってのもあると思うんですけど、「あれも欲しいこれも欲しい」「こう見られていたい」「こうじゃなきゃダメだ」とかっていう承認欲求だったりエゴだったりの部分が大きかったんで強く見られたいというか。
そういった経緯もあってかHIP-HOPの不良性というかアーバンでなんだか危険な部分に惹かれていました。
歳を重ねて自分で商売を始めたり色んな物事を経験したり僕なりに知ってくると自分が今まで選択してきた事/表現してきた事でこれから更に何を作っていくかとか、表面的な事じゃなくて内面的にも、社会の中で生きる1人の人間として日々の生活の中でいまの僕が思う人としてカッコいい「在り方」をいままでの人生と「どうリンクしていけるのか?」とか考えるようになってきて。
全然大した事をやってこれた訳でもない人生なんですけど、ラッパーとして音楽も含め自分の僕なりの「HIP-HOPの在り方」みたいなのを探し続けたいというか。憧れだけじゃなくて。
この先もっと自分の中の解釈や価値観や見え方が変化していく事もあるかも知れないですけど「その時の在り方に拘る」という拘りには、今後も拘っていきたいとは思っています。
「変化しない為の変化」とか「変化を恐れない許容」とか模索して楽しみ続けていきたいなと。
4:ジャンルとしてHIP-HOPはやはり大きく2つに分けるとしたら「不良か不良じゃないか」の2つです。「ギャングスタかコンシャス」と分けてもいいのかも知れません。
近年は国内でも躊躇に増えている「トラップ系アーティスト」も有る意味では「ギャングスタ」の流れだと思いますし、やはり「コンシャス」だったら【 KENDRICK LAMAR / ケンドリック ラマー 】が代表的です。
世界的に捉えれば現在のシェア人口がROCKを超えているHIP-HOPであり、もっと細かな分け方も可能ですし当然に両方の側面を表現するアクトもいますが、それでも私は不良性を大事に考えてたりします。
有る意味ではROCKの売りだった側面である不良性(JAPANESE HARDCOREは別として)を今はHIP-HOPでしか感じれないからです。
ST-LOWさんは私から考えたらコンシャスな側面が強い作品をリリースしてるアーティストとは思いますが、HIP-HOPの持つ不良性に対してはどのように考えておりますか?
ST-LOW:さっきの話もそうなんですけどHIP-HOPの歴史やカルチャーを殆んど知らずにラップし始めて色々と知っていくうちにHIP-HOPの不良性に惹かれて、ラップの内容だったり生活だったりがそういう感じに寄っていく時期もありました。
そういう感じになるとそれもリアルだと思うようにもなるし、今考えると環境的なものの影響もあるとは思うんですが、ただあっちのHIP-HOP的なイメージに憧れてただだけなんです。自分の生活している場所や環境や僕自身の人生に落とし込めていなかった。もともと不良と言われているような人間でもないですから。
知っていくうちにHIP-HOPって「地元をレペゼンする文化」ってのが分かってきて、リリックを書いて曲を作っていくうちにだんだん地元の事とかを歌った曲とかも作るようになっていって。
沖縄って場所は米軍基地があるし日米地位協定だったり戦後から続くいろんな問題が未だに多くて、
当たり前にあって当たり前だと思って育ってきた環境や生活の中に色んな出来事があったり、それで良かった事や逆にこのままじゃダメだって思う事もあったり、色々な歴史があり時代があり、色々な価値観や不条理や利権があったりで考えれば考えるほどそういった問題に対してこれが正解だという答えが難しかったりするんですよね。
だんだん僕には大したバックボーンもないし不良でもないのに中途半端に不良ぶって、ただ無意味にカッコつけてるだけでリアルだなんだって言いたくなくなってきて。
周りにはむちゃくちゃ不良の先輩だったり同世代の友人達は沢山います。アーティストだったり、何かしらの表現をしてようがHIP-HOPだろうがROCKだろうがヤンキーだろうが。
また一言に不良って云ってもカッコいい不良とカッコ悪い不良がいて、めちゃくちゃヤンチャで不良だったのにしっかり働いて家族を守ってたり会社を興してがんがん稼いでたりな人達はカッコいいなぁって思いますし、それは別に不良性とか関係ないんですけど人として芯があるっていうか。尖り方が粋というか。
だから僕も僕なりに僕らしくカッコよくなりたいな、と。なっていきたいな、という感じで。
でも人間ってなにかしら不良じゃないですか、外見的か内面的か断片的か客観的かの色々な部分で。
ストリートカルチャーにいる人達って良くも時に悪くも分かり易い様な気がするんですよね、表現してる分。不良っいう捉え方は色々なんでしょうけど、不良がめっちゃカッコいい事してるってやっぱりカッコいいというか。
ゴチャゴチャしてすいません(笑)
5:地元をフックアップする「レペゼン」要素はHIP-HOPの文化で重要だったりします。「ST-LOW」さんは沖縄県出身で現在も沖縄県で活動を続けております。
私自身も産まれた街で活動を続けておりますが、正直「地元愛」とかではなく「有名になるイコール東京」と云うマニュアル的考えが嫌で、自分自身の活動がちゃんとしてれば何処だって立証出来ると云う流れからでした。今と違いネット社会じゃない当時から考えると無茶苦茶だったとも思います。
先日も山形県酒田市でライヴハウスを運営しつつも全国で活動し続ける【 FRIDAYZ / KENTA FRIDAYZ 】のインタビューで地元へのレペゼンが強い程、一般的リスナーに対してメリット/デメリットが必ず生じると。つまり諸刃の剣になりえたりもすると話になりました。
同じく現在も沖縄県を中心にカフェなどの運営含めて活動を続ける理由を幾つでもいいので教えて頂けますか?叉、過去/現在の沖縄のシーンの変化なども教えて貰えますでしょうか?
ST-LOW:僕は単純に地元が好きなんです。
若い頃は売れる事や有名になる事が最高のステータスだと思ってもいました。デモ音源を作ってあちこち送ったりしていくつか大きいレコード会社と話させていただく機会もありました。
でも、僕がやりたい事とあちら側がやって欲しい事が合わなかったりする部分とかその時は多く感じて、今の時代みたいにHIP-HOPを知って貰ってもいなかったですし所謂ラップ枠でって感じで。
分かり易い外から捉えた沖縄っぽいハッピーで南国なリゾート感をラップでメロディアスに歌うアーティストには僕はなれそうもなかった。勿論そりゃそうだろうってのも理解しました。
何かどこかの会社にお金を出して貰ってやるんだったら「深く」よりも先ずは「広く」を優先していかなければいけないのも理解出来たんですけど当時は特に…僕は器用には割り切れなかった。
だから自分でやろうと思いました。自分はやりたい事をやりたいようにしたいんだって自身で分かったんで、レーベルを作って出来る範囲で良いからやりたいようにやりたい事をしていこうと決めました。
さらにHIP-HOPというかストリートカルチャーって曲作りだけじゃないアウトプットも多いし、楽曲だけじゃない表現も僕はやりたかったので服屋を経営して洋服を仕入れたり作ったり、仲間とBARをやったりして。
今やってるカフェ ( café NooR ) もそうなんですけど、生きる為っていうよりは今の僕がやりたい表現の形なんです。
いつもの仲間や友達のアーティストやもう音楽をやめてしまった友達や若い奴らやLIVEやイベントに来てくれる方や近所に住んでる方々がたまにご飯を食べに来てくれたり珈琲を飲みに来てくれてお喋りしたりする。
他から見たら人によってはラッパーはラップだけやってるように見せた方がカッコいいって思う人もいるかも知れませんけど、でも僕の場合はラッパーとして色々やりたい事をやりたいように表現したいんです。出来うる限り。
そういった事もあって、やりたい事を出来易いのが僕の場合はやはり地元「沖縄」だったんです。
正直、今の沖縄のシーンってなるとシーン全体や若いラッパーとか把握しきれてなくて、有名だったり知っているラッパーの音源とかはよく購入して聴くんですけど、ラッパーもイベントも沢山いたりあったりするんで。今はこんな流れがきてるとかがよく分かっていない部分もあります。
もう僕も来年40歳なんでシーンがとかじゃなくて今自分がやりたい曲ややりたい事を今まで以上にやりたいようにやるには?って事ばっかりしか考えてなくて。
その過程で何かしらシーンに貢献できる事があるなら微力ながらも参加させて貰えればなって思っています。
それに僕は常にその時々のシーンの中心は若い世代が作っていくもんだと思っていて、たまに若いラッパー達も出演するイベントだったり、なんなら若い奴らが企画してるイベントでLIVEさせてもらう機会がある時とか、
若い奴らに色々と今のトレンドのアーティストだったり曲だったりスタイルだったりを教えてもらったりして、僕がやってるスタイルとか聴いている曲とはまた違ったスタイルのパフォーマンスや曲を歌ってたりする奴らも沢山いるんで見ていて刺激を受けます。
最近は本当に若い人達から学ぶ事が多くて、お店に来る若いアーティストだったりと話してたりするといろいろ発見があります。
最近の若いラッパーはある程度いきなりラップ上手い奴多いし、宣伝や自分の見せ方も上手いし『すげーっ』て思ったり。
たまに僕も女の子にモテたいとか思ったり(笑)
世代関係無くメリット/デメリットは多分何処にいても何をやってても必ずあると思うんで、結局自分で選択した事をやっていくための覚悟とかが重要になってくるのかなとか思ったりします。
何を選択しても譲れない場面もあれば変化していかないといけない場面もあると思うし、そのバランスとか納得して出来なくなったら良くも悪くも違う選択をしていかないといけないんだと思っています。覚悟だと思っています。
6:やっぱりHIP-HOPはクラブ文化だと思います。どんな大物でもアリーナクラスのライヴより音楽的な相性としてクラブでのライヴがベストだと思います。【 THE ROOTS / ザ ルーツ 】など生バンドのサウンドを導入するアクトも存在しますが、やっぱりDJがトラックを流すスタイルがHIP-HOPには一番適してると思ってます。(キャパの件はBLUESやJAZZも近いイメージが有ります)
現在、全国のクラブ自体がやっぱり苦戦しつつもまだまだ沢山有ります。そこで質問ですが何故にROCK BANDの様に全国をTOURするHIP-HOPアクトが圧倒的に少ないのか?と云う点です。
知名度問わず昔以上にHIP-HOPアーティストは現在増えてるにも関わらず/ROCK BANDの様に機材が少ないにも関わらず、何故にTOURに挑まないのか?と。
沢山のHIP-HOPアクトが赤字覚悟で全国に手持ちで音源等のグッズを持って、トラックだけ準備してMC一人でも廻るべきだと私は思うのですが。その辺はどう思いますか?
経費的にも会場的にもBAND以上に有利な条件がHIP-HOPには揃ってると思うので、この辺がとても今後のシーンとしても重要な部分かと思うのですが…。
ST-LOW:まったくその通りだと思います。おそらく理由としては音楽的な収入に対してツアーにかかる経費だったりな部分が多いと思うんですけど、バンドとか大人数のメンバーでの移動に比べたらリスクは少ないですよね。
でも近年ではSNSやメディアの普及で大手レーベル所属やセールスや知名度が無くても、個人や各地アーティスト、オーガナイザー同士の繋がりであちこちLIVEツアーに行くHIP-HOPアーティストも増えてきたんじゃないかと思います。規模は別として。
プロモーションやセールスの仕方も以前とは変わってきているし、色んなプロモーションのやり方の選択肢は増えていると思います。今からもっと増えていくんじゃないでしょうか。
僕としてもLIVEに誘っていただけるなら地球中どこへでも自費でもなんでも行きたいんですけどなかなか誘われないのが現状なんで。
勿論、僕自身の知名度やセールスやら力不足も然る事ながら色々と合う/合わない相性の部分があっても今普及しているツールを活用出来てない部分も自覚してるんで、色々とDIGって頑張らないといけません。
7:誤解を招く表現かも知れませんが、HIP-HOPの文化と云うかDJの文化と云っても良いかも知れませんが、
フィジカルが売れなくなってる時代と連動して沢山の方にクラブシーンを有る意味で理解して貰える/体感して貰える可能性として今まで通りのチケット制では無く、
基本的に呑み屋とかカフェの感覚で箱を運営しつつ、その中にDJやMCがいるスタイルの方が日本では栄えるのではないか?と頭を過る事が有ります。それこそ夜じゃなくて昼からとか。
そのシステムからブレイクしたアーティストが箱を借りて初めてチケット制でライヴ/イベント展開する順番がベストじゃないかと。
それ位にHIP-HOPが過去最大級で盛り上がってると云われる2019年は逆にクラブの楽しみ方が反映しづらい時代。都心以上に地方のクラブは厳しくなっているんじゃないか?感じていたりします。
先程のTOURにも関わってくると思いますが、HIP-HOPの演者側として現在のクラブシーン自体をどうお考えでしょうか?
ST-LOW:夜だけでは無く昼間からの運営形態での営業やイベントが増えるのはすごい良い事だと思います。
それで夜出歩かない客層や未成年層にクラブの遊び方を知って貰う事でDJだったりラッパーだったりイベントだったりの可能性の選択肢が増える結果になれば良いんじゃないかと。
実際未成年の客層をメインにしたデイイベントも増えているようにも思います。
ただ昼と夜の営業が増える事で箱やDJの需要や雇用が増えクラブの経営的にもより良く稼働する環境になるなら良いとは思うんですが、
限られたスタッフで昼も夜も開けないと経営が成り立たないから夜だけじゃなく昼も営業をとなるなら、それは難しい事だなとも思ってしまいます。
僕が若い頃はクラブで日本語のHIP-HOPが流れるのは勿論、LIVE出来る箱やイベントなんて沖縄では余りなく、だからたまにあるイベントには日本語ラップが好きな人達や出演するアーティストの友達がここぞとばかりに集まりました。
今現在、HIP-HOPが流行っていると言われています。私の知る限りだとフリースタイルバトルイベントや知名度のあるゲストを招いてのイベントではある程度集客しているデイイベントはあるのですが、そうなると『HIPHOPが流行っているって何だろう?』って思ったりもします。
フリースタイルラップからのラップに対する認知度は広まったとは思いますが、必ずしもその流行がHIP-HOPカルチャーの理解やアーティストやクラブに経済的に還元されている感じにはあまり感じません…僕がそう感じているだけかのかも知れませんが。
やり易くなった部分も勿論あるとは思うんですが、僕ごときですが勝手に思っているのは、今は「こういったフォーマットでなければ」とかがなんだか多くて、時代が変われど「限られたパイ頼り」な部分も未だに多い。
古い考えかも知れませんが色んな発想を得る為に色んな選択肢をサンプリングし、DIGって、他と違う事をしていく勇気も必要なんじゃないかと思ったりします。
経営的にもオリジナリティ的にも良い感じのバランスでやっていくのは大変かもしれしれないですけど、楽しんでやっていくのが前提でその箱の色と云うかオリジナリティを出していくってのは魅力になるだろうし「その場所に合った音と音楽と人」って大事だと思うんで。
個人的に思っているのは「音響システム」と「PLAYするDJ選び」は大切なんじゃないかと思ったりします。小箱の魅力も大箱の魅力もあるだろうし。
僕の一方的な理想なんですけど、偉そうにすいません。
先ずはお客さんに遊びに来て貰ってなんぼなんで何が正解とか分かんないんですが、なんにしてもそれぞれが試行錯誤はしていかないといけないんだと。
8:他のジャンル以上にHIP-HOPは立ち上がりの時点で言葉遊びやメッセージ性が必然的に重要視されています。ただ韻を踏む事だって他のジャンルでも重要ですし、決してメッセージ性の有無でその音楽が持つ重要性を図れるとは思ってませんが、有る意味では音楽ジャンルで最も音楽と歌詞が「FIFTY-FIFTY / 五分五分」の丁度良い関係性なのかも知れません。
その歌詞…HIP-HOP的にはリリックですが、このジャンル特有の「PUNCHLINE / パンチライン]と云う用語が有ります。実はこの辺も世間の捉え方と個人の捉え方で様々だと思います。
当時からそこまで注目されてなかったと思いますが例えば私ですと【 ZEEBRA 】の1st albumに収録してる楽曲「I'M STILL NO.1」で『フリーでスリーかますブザービーター』ってフレーズはもう未だに痺れます。
【 TWIGY 】が「LAMP EYE / 証言」でのリリック『毎日磨くスニーカーとスキル』などは日本を代表するパンチラインだと思いますし、実際にST-LOWさんの楽曲「MEMENTO」でもオマージュ的なリリックが有ったりします。
ST-LOWさんの楽曲だと「FIND THE CLUES」がリリック的にも凄い気持ち良く大好きですが特に『1 FOR THE MONEY GIVE ME A(DA ?) CHOCOLATE』などは沖縄県を本拠地として活動するST-LOWさんだからこそ説得力が有るパンチラインだと思います。
ご自身の楽曲で気に入ってるパンチラインをいくつか教えて貰えますか?叉、その理由も含めて。
そして国内外含めてST-LOWさんが『悔しい!』と思った他のアーティストのお勧めパンチラインなどが有れば教えて下さい。
ST-LOW:若い頃に聴いた日本語ラップの曲は初期衝動的な印象が強かったからかパンチラインだらけで、【 キングギドラ 】だったり【 ソウルスクリーム 】【 雷家族 】だったり【 ブッダブランド 】だったり【 オジロザウルス 】だったりもう色々と。それこそ『毎日磨くスニーカーとスキル』もそうなんですけどパンチラインを選び出したらなかなかキリが無くて...(笑)
日本語ラップ好きはみんなきっとそうなんだろうと思うんですが、なかなか選びきれないです。
大好きな曲も普通に好きな曲もあんまり好きじゃない曲にもそれぞれのカッコいいだったり、グッときたり、考えさせられたり、笑えたりなパンチラインがあります。
『悔しい』と思ったリリックやパンチラインは特に無いです。
9:影響を受けたHIP-HOPアーティストを教えて貰うのも普通なのでちょっと趣向を変えて。HIP-HOP以外のアーティストでも、ミュージシャンじゃなくても構いませんので強く影響を受けた方を理由と一緒に教えて貰えますか?
ST-LOW:影響を受けた方なら若い頃に働いていたショップの社長さんとかすごい影響受けてます。
買い付けや経営を教えてくれたってのもあるんですけど、今でも手広くビジネスをして稼いでいるし人の事や街の事とかも考えてて、いまだに良くして頂いたりして人間的に憧れますね。
あとはまぁ当たり前なのかも知れませんが「両親」の影響は受けていると思います。
母は料理が得意だし、何年か前に他界した父は教師だったんですけど小さい頃によく学校の課題や発表会の作文を真剣に書けって怒られたんですよね。
子供の頃はそれが面倒くさく感じてましたけど今やってる事に活かされてる部分は大きいんで、この歳になって本当に感謝しています。
影響を受けたミュージシャンとかは【 Mr.Children 】とか【 チャゲ&飛鳥 】とか【 サザンオールスターズ 】とか【 エレファントカシマシ 】とか【 BLANKEY JET CITY 】とか【 ブルーハーツ 】とかの楽曲 ( オケ ) も好きですが、歌詞が凄い好きなんでそこらへんリリックとかに多分影響受けていると思います。
10:HIP-HOPではフューチャリングはBAND以上に頻繁におこなわれる事です。先程も「証言」の事が質問に出ましたが、もし同様に7人(自身を含めて)のMCが参加した新曲を発表するとします。
故人/国外のMCを含めても構いませんので、順番と理由を教えて貰えますか?
ST-LOW:僕はあんまり個人的に知らない人とは自分から曲を作れなくて、あまり知らない人と曲を作る場合イメージが湧かないというか。だからなかなか自分からそういった曲を作れないんです。
勿論カッコいいって思うマイクリレー曲は沢山ありますし、【 WU-TANG CLAN 】みたいに大勢のMCがいるクルーには憧れるんですが、自分から誰かを集めてって感じでは最近あんまり作ってなくて。
若い頃は実験的な事がしたくて仲間内でマイクリレー曲を作ったりしたんですが、寧ろ何かしらの企画やトラックメイカーさんの作品で誘って貰ってのテーマに沿ったマイクリレー曲にはガンガン参加したいって感じです。
『誘って貰えたからには誰よりカッコいいワンバースを書いて行くぜっ』みたいな気持ちのみでやれるんで。
11:今後の予定なども教えて貰いたいのですが、そろそろ3rd ALBUMのリリースが控えてる筈です。前作の「BACKDROWSINESS EP」は今までの作品でもバリエーションの一つとしてあった「SAD」なイメージと云うより、全体的に「DOPE」に統一された作品だったと思います。
実際にどの様な作品になりそうですか?リリース予定なども分かる範囲で教えて貰えたらと思います。
ST-LOW:アルバムを作る上で勝手に意識しているのは1st→2nd→3rdが通して聴けるってのを考えて作っています。流れも歌詞も全作品を通して前作の終わりと新作の頭が繋がっていくイメージです。
本当に無駄な拘りだと思っていますし、だからこそ無駄に構成を考える事も多くなるんですけど、リスナーに気付いて貰えなくてもそうやって作ってしまってきた以上もう後戻りできないんで。(笑)
あと収録する曲で全体的に「喜怒哀楽」は詰め込みたくて、アルバム作品1枚に曲の構成で喜怒哀楽を哲学や価値観や恋愛観とかを表現していきたいんです。
出していく作品毎で変化していく事も変わらない事も含めて作り続けられる限り僕自身の人生感を表現していくイメージなんですが、1st albumの20代の頃の僕から今3rd albumを製作している30代後半の僕というラッパーの変化をアルバムの楽曲の流れでも表現していきたいってのがあります。
メッセージを伝えたいとか大きな何かを変えたいみたいな使命感みたいなのは今は余り無くて、至って大した人間じゃないんで偉そうに伝えられる事なんてあんまり無いんですが、自分なりの考えを表現したいんですよね。ラッパーなんで。
「BACKDROWSINESS EP」は人生の喜怒哀楽というより僕のバックボーンというか断片集に近い感覚で作りました。
身近な街の風景だったり押韻に対する言葉遊びだったり、結果出来上がってみたらいつも以上に売れなさそうな作品になったんですけど「EP」って形で作品に出来て良かったです。
今、小学生の頃から幼馴染みのトラックメイカー【 NEXXXT 】と、【 DESSON 】ってグループで曲を作っているんですけどソロとはまた違って作っていて楽しいです。
それもいつか何かしら作品にしたいと思っています。もしかしたら何かしら作ってるのが好きなのかもしれませんね。
12:このインタビューをメインでチェックしてくれてる方は、音楽だけ/洋服だけなどの偏った方ではなく、割とカルチャー全般が好きな方が多いと思います。旅行だってその一つになると思います。
先程も少し触れましたがST-LOWさんが運営する「café NooR」は私も早く行ってみたいお店です。沖縄に行きたいって思う理由の一つです。読んでくれた方にも沖縄に行った際に立ち寄る切っ掛けになるかなと思います。
どのようなコンセプトでスタートしたのですか?そしてお店の有る付近はどのような街だったりしますか?やっぱりDJ/MCとか楽しめたりするんでしょうか?
ST-LOW:「café NooR」は僕の地元である沖縄市の銀天街っていう寂れた商店街の一角にあります。小学生の頃とか塾をサボって鬼ごっことか隠れんぼとかしてた本当に地元の商店街で。
数年前位から、僕料理が好きなもんでたまに知り合いの箱を借りて料理イベントとかしてたんです。DJが曲を流して僕は料理を振る舞うみたいな感じで。
始めた切っ掛けとしては単純に自分でカフェを経営すれば自分とこでそれが出来て、尚且つ友達も遊びに来てくれたらいいなってのが理由です。
DJブースがあるのでたまに週末にイベントをしたりして知り合いのDJがPLAYしてくれて地域の人達とも交流できるし、なんせ寂れた商店街なんで多少地元の商店街を盛り上げれたらなって気持ちもあっての場所だったりもしたんですけど、逆に地域の方々がコーヒー飲みに来ていただいたり野菜を頂いたりしていつも助けられてます。
近所の小学校とか学校帰りに宿題しに来たりするもんだから、お菓子あげたりとかしつつ。(笑)
店内には知り合いのグラフィティライターの絵や好きなレコードとか飾ってあるんでラッパーとしてラップだけじゃない僕なりの表現の一つだと思ってやっています。
ぜひ沖縄に来られる際には遊びに来ていただけたら嬉しいです。
13:有り難う御座いました。以前からのファンの方も読んでくれてると思いますし、このインタビューで興味を持った方もいると思います。最後まで読んでくれた方々にメッセージをお願い致します。叉、インタビューの感想なども。
ST-LOW:ちゃんと質問に答えられたのかわかりませんが最後まで読んでいただきありがとうございます。
こういったインタビューをして頂ける機会ってなかなか無いんで本当に有り難う御座います。
行ったことのない場所で僕の曲を聴いてくださっている人がいるってのはありがたいことですし、CDを取り扱っていただいたり、ラジオでオンエアしていただいたりして日頃会う機会の無い方々に聴いていただける切っ掛けを作ってもらった遠藤さんには本当に感謝です。
音楽だったりそれぞれ選択してきたカルチャーだったりが切っ掛けで色々知り合ったりリンク出来るって嬉しい限りです。
僕みたいに地元でずっとやってきたラッパーにとって楽曲だけでなく今回のインタビューのように自分の生き方の考えや思いを聞いていただいて発信していただける機会は本当にありがたい事なんで嬉しいです。
有り難う御座いました。
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