RALEIGH / ラリー(RED MOTEL / レッドモーテル)
“The JUBILEE CROWN (Britpop Is Dead)” TARTAN CHECK TRACK JACKET (BLACK)
¥32,780円(税込)
22年間、休まず活動を続けてるって一体どんな心理状況なんだろう?
聞きたい事は沢山有りますが、敬意を持って挑んだこのインタヴュー。
初対面の僕に対して、最初に“深々と挨拶”をして頂いたKIBAさんに対して、その時点で僕は言葉を失いそうになりました。
本気で動いている人達。そう僕の/みんなの未来の様な輝く素敵な方でした。
変な表現になりますが、今直ぐにでも逢いに行きたいくらいですから。
力を貰える内容だと自負しております。それでは、楽しんで下さい。
Interview. KIBA(Vo.) Interviewer 遠藤博美(SIDEMILITIA inc.代表)
・GARGOYLE KIBA Official Twitter
● 先ずは、突然の僕のオファーを受けて頂き、とても感謝しています。
KIBA
コチラこそ有り難うございます。「初めまして」で間違いないですよね?
● いえ、僕は10代の時にライブの方に行かせてもらっているので、僕自身としては「初めまして」じゃないです(笑)
早速ですが、今年で活動が22年目になる〈GARGOYLE〉って・・・
KIBA
開始は「1987年」なんですけど、ちょっと考えて貰えば判る通り、今年が平成21年なるので、「昭和の終わり」からやってますね。
● 僕も、お店の方が11年、イベントが13年、ラジオの方が8年目を迎えてどちらかというと長い方ではあるんですが、〈GARGOYLE〉の活動の歴史と比べるとまだまだ若いですね(笑)
KIBA
まあ、年齢が違うからね(笑)
● けど、本当に「凄い事」だなと僕は思います。今日はよろしくお願いします!
KIBA
こちらこそ、宜しくお願いします。
● その長い活動に関わる質問になるんですが、「定番ナンバー」というか、必ず「外せないナンバー」って長く続ければ続ける程、バンドに付きまとうもんじゃないですか。
それに対しての、「メリット」は勿論有ると思いますが「デメリット」に対する葛藤ってどう対処しますか?
KIBA
僕ら自分達なりに「カタルシスを持ちたい」っていうか、例えば何バンドとか対バンする時は「わかりやすい曲」というか、「定番ナンバー」を並べるんですけど、逆にアルバムリリースとかに関係の無いワンマンライヴの時は全曲「否定番」でやったりします。この前のツアーも全公演で「1曲も同じナンバーを演奏しない」とかね。
オリジナルナンバーが多分「170曲」位あるので、『どうとでもなるやん!』ていうね。
● 170曲ですかー!!(驚)
けどそれって実際の問題なんですけど、バンドって全部オリジナルナンバー覚えてるもんなんですか?(笑)
KIBA
僕ね、多分・・・「半分」位は覚えてる。
● 半分ですかー(笑)
KIBA
残り半分位は、前の日に言ってもらえればなんとかなる。
● おぉー!凄いですね。
けど、今までもリリースツアーじゃない時に定番ナンバーをやらないライブをやっているのを僕も知ったんですが、「反応」とか怖くないんですか?
『あれやんねーのかよ!』みたいになるじゃないですか?ファンの方って。
KIBA
でも、曲をやらない訳じゃないからね(笑)
『じゃあ、この曲嫌いなの?』みたいな話なんで。
僕らは自分等が楽しくやって、本気で楽しんでたら見てる人も楽しいと思うから、そこで何か嫌々で『定番やし・・・やる?』って感じやったら、別にしなくても良いかって思ってるんで。
あのね・・・ちょっとズルイかも知れないけど、自分で『これやったんで嫌われたら仕方ないよな』って「理由」を持つのは好きなんですよ。
でも理由なく嫌われるがイヤじゃん。定番でガッチリやってるのに『嫌です!!』って言われると、凄く落ち込むので(笑)
じゃなくて『僕達、今回は定番やってないから、嫌だったら嫌って言ってくれ!!』って言葉に出してる方が気が楽なので、余りそれは考えないですね。
● けどそれって、バンドとしては「強い意志」というか「自信」が無いと、なかなか難しい決断じゃないか?と僕は思うんですけどね。
KIBA
まあ、活動が長いのもあって、ある程度は来て下さるお客さんも「固定化」されてるというか、リピーターの人達も多いですし。
言い方を変えると「マニアな人が多い」んです。だから逆に今は定番じゃない方が喜んでじゃないかな?と僕は思います。
それを狙いすぎたかなぁ?って時は逆にあるかも知れない(苦笑)。もう少し、定番で気持ちよく盛り上げれば良かったのに・・・『ちょっと変わった事をやりすぎたなー』と思う事はあるよ。
● わかりました。
僕も、「アパレル」という仕事をしていて「音楽は仕事なのか?」って聞かれたら、側面は仕事って面も有るし、そうじゃない面も有るとは思うんです。
僕も「毎回、同じもの」を求められてやるのは嫌なんですよ。
DJをやってるんですけど、『遠藤博美というDJが必ずこの曲かけるよね。』って思われてるのもあるので、それを外すと『あれ、どうしてあの曲かけてくれないの?』反応になるんですけど。
定番を狙ってるけど、なるとそれはそれで困るみたいな感じ・・・我が侭ですけどね。
それで結果でなければ、僕の実力不足だとは思うんですけど。
KIBA
僕、DJって「観た事も聞いた事も無い」んですけど、例えば「ワンマン」の時も有るの?『一晩、僕がやりきります!』みたいな。
● 有ります!有ります!去年の年末は1人で「10時間半」の耐久イベントをやってみました。
KIBA
そんな時やったら、別にやらなくていいのかな?って思う。
『遠藤博美の色んな面を見てちょーだい!』みたいな感じで(笑)。
ただ何人かでやる時は、『遠藤博美といえばコレだ!』というのを見せつけておくべきだよ。
バンドも同じ様な感じかな。
● 納得できました。有り難う御座います。
続いての質問はですね、先程も出たんですけど僕は本当に好きなカルチャーってのは「ファッション」と「音楽」なので、仕事にも勿論しています。その片方が欠けたら、駄目なんです。
例えば「見窄らしい服」を着ているだったら、どんな素晴らしい「音楽」でも耳に入って来ない自分がいると思うんです。逆に「良い音楽」が聴けなかったら、「最高の服」を着ても格好良く慣れない。
どっちも上手く廻らない位、共に好きなカルチャーなんですけども、KIBAさんにとって「音楽と同等のカルチャー」って何か有りますか?
それとも音楽だけですか?
KIBA
僕ね、バンドをやってる意識はもちろん凄くあるんですけど、バンドをやってるっていうのは「イコール音楽をやっている」って気には、余り無いんですよ。
● んん!?もう1回いいですか?
バンドをやってるっていうのと、音楽やってるっていうのは・・・
KIBA
余り「イコール」では無いですね。例えば、こうスタジオミュージシャンの方が楽器をプレイするとか。そういう事じゃない無いんですよ。
「バンド」っていうのは、細かい『CDのジャケットはこんな感じにしたい!』とか、『次のTシャツはこんな感じにしたい!』とか、もっと言うと『衣装はこのデザインで制作して着たい!』とかの「全ての事柄」を含めてバンドでしょ?
例えば、僕が私服のままガァーって歌って『GARGOYLEです!』っていうのと、ライブで衣装着て歌うのとはやっぱりちょっと違うから。
だからこそ「音楽」という括りをやってる意識は余りないですね。バンドをやってるってのは凄く楽しいですけど。
バンドの中に有る、「色々な活動」は音楽と同じ位に好きかもしんないですね。
僕、洋服の事とか全然わからないですけど、自分のバンドTシャツは全部僕が制作してるんですよ。Tシャツのデザインとか多分、「歌詞」を考えるのと同じ位に好きですね。
● なるほど。
KIBA
バンドのTシャツって「普段着れない」感じなのが多いでしょ?
● まぁ、基本的にはそうですよね。
張本人で有るミュージシャン自身も、実際はライブ中しか着てないんじゃないの?って逆に言いたくなりますもんね。
KIBA
僕、基本的に普段で着れる物しか作らないです。
『これ絶対に俺は普段でも着たい!』と思う物しか作らないんで。
● 〈GARGOYLE〉のアイテムだけども、日常の生活でも自分が「共感を持てるアイテム」しか作らないって事ですよね?
KIBA
そうそう!
たまに自分達のライブの日は勿論あるんですけど、普通の日に電車とかで〈GARGOYLE〉のTシャツ着てる人がいると凄く嬉しい!!
『今日はライブじゃないのに着てる!』と思って・・・。
『やるなぁー貴方は!』とその人を見ています(笑)
● そんな会話をしながら、僕は今日〈LED ZEPPELIN〉のTシャツを普通に着ているという状態なんですけども・・・(笑)
KIBA
フフフ・・・(苦笑)
● ジミーペイジに感謝して欲しいですよ、僕としては(笑)。
話は変わりまして、ライヴをやっていると感じる「カタルシス」って有る訳じゃないですか?
それと同等まではいかなくても、『これやってる時“ガァー”って来るんだよね。』ってのは何か有ります?
スポーツだったり、映画を見るでもいいんですけど・・・本を読んだりとか。
KIBA
・・・なんやろうね?普段の生活でって事だよね?
普段の生活で何が好きやろ?・・・最近は無いかなぁ。
● (大笑)「最近」無いんですか?
KIBA
僕ね、自分でも知ってるんですけど「熱中する事」があったら、遠藤さんみたいに継続するのと違ってそれの「短期間:集中祭り」に入るんですよね。
耳の奥で「祭り囃子」が聞こえだす!!みたいな(笑)。それだけをやり出す。
● 「ガァー」ってなるって事ですか?
KIBA
そればっかりやり出して、ある程度やると「次の祭り」が始まるのを待つ。
で、今は「それ待ちの期間」ですかね。
● 因に、この間までの「祭り」は何だったんですか?
KIBA
“ハ”!!
● はい!?はい?
KIBA
“ハ”!!〈エヴァンゲリオン:破〉ですね。
〈エヴァンゲリオン:破〉・・・アレは可成りの「祭り」やったね。
● KIBAさん、あの「ハッ!!」って突然言われても、全然わからないですよ(笑)
KIBA
(大笑)兎も角、あれは凄かったよ!
僕はアノ作品を観て、久々に盛り上がりました。
元々「エヴァンゲリオン祭り」ってのは有って、その時はテレビ版を「100回以上」観たんですよ。
● 見過ぎですねー(笑)
KIBA
「大祭り」やったけど、1回終わって・・・。
「新劇場版」が始まっても、大して祭りは始まらなかったんですけど、こないだ「破」を見た時に再度始まってしまい『これはマズイ!また祭りや!!』と思って(笑)。
● 『決まった!!』って感じですか?
KIBA
あれを見終わった時に思ったのは、次作は「急」ってタイトルに決まり、その次に「ブルーレイ」をリリース!!って言ってるから『とりあえず全部見終わるまでは、交通事故にだけは気を付けなくては』って思った‥。
● それ位に大事だったんですね(笑)
KIBA
『これ終わるまでは死んだらイカン!』って思った。凄い面白かった!!
● 凄い絶賛ですね。
因みにその事って、他のラジオとか雑誌でも『俺は今も昔も“エヴァンゲリオン祭り”だぜ!』って発言しているのですか?
KIBA
イヤ、余り質問された事が無いから言ってない。
博美君ぐらいだよ、こんな質問のスタイルは(笑)
● なるほど(笑)光栄ですし、ファンの方が今回で「エヴァに興味を持つ方」が多くなると思います。
続いての質問なんですけど、今の音楽シーンでもっとも話題になっているのは、最近再デビューした〈THE BEATLES〉!!
同じバンド仲間として「リスペクト」する部分、「共鳴」する部分があったら教えて下さい。
KIBA
・・・正直、僕〈THE BEATLES〉をちゃんと1曲も聴いた事が無いんです。
● えぇ〜!!本当ですか!?(笑)
KIBA
本当に生まれてからCDとかレコードを「1回も買った事」が無いので‥。
家に「鳴るもの物」が無いから、買っても仕方がない。
● 家に鳴るものがないって、「オーディオ」等が無いって事なんですよね?
KIBA
無いです。パソコンで一応は鳴ると思いますけど。
● 昔では無く、現在も無いって事ですか?
KIBA
今もですね。
● (謎顔)音楽が好きだから、バンドをやるのが当然じゃないですか?
一体、何でバンドを始めたんですか?
KIBA
何か、まぁ知り合いが集まった時に『面白い事しようぜ!!』って事になって、人数的に「バンドが良いんじゃないか?」って事で。
「劇団」とか難しそうだったんで、丁度、楽器ができる子もいたしね。
それで始めて、ライブやるまでにちょっと人が変わって、楽器ちゃんと出来る人が入ったりして、そのバンドが今の〈GARGOYLE〉ですね。
● (言葉を失う)・・・ちょっと信じられない「トーク内容」が現在展開中ですよね。
KIBA
本当です。確かに今のメンバーの人は凄く音楽の事わかってるので、僕は音楽の事で「口出しをした事」無いんですね。
例えばアルバム制作の時も『どんな曲作って欲しい?』ってメンバー言われても『わかんないし、いいよ。』って言うんですけど、何回も聞いてくるので、たまにはちゃんと言ってみようかなと思って‥‥
『それなら、“竹林に差し込む一条の光”の様な曲を作ってくれ!!』言ったんですけど、『何の事か全然わからん!』ってメンバー全員に言われて、それ以降全く聞いてくれなくなって・・・(笑)
● (笑)でも、だからこそ「オリジナリティー」溢れる今の音楽性が有るのかも知れませんね。
KIBA
もしかしたら、凄く似ているバンドが他にもいるのかもしれないですし。
僕、音楽を本当に聴いていないから、よく判らないですけど。
自分等が『これが凄い楽しい!!』って・・・他の3人も同じ様に考えて活動しているなら「それで良い」と思うんですよね。
僕自体は正直な事を言うと〈GARGOYLE〉の音楽が良いのか、悪いのかよく判らないです。
● え?・・・まあ、これ以上の発言はちょっと問題が有る様な・・・(笑)
KIBA
全然、大丈夫です。
でも、ライブで歌っていて「楽しい曲」だとは思います。わりと激しいんでステージに立っていて“アッー”ってなれるし、それは凄い好きですね。
● (久々に自分が手の上で転がされている感じがする・・・楽しい!!)
続いての質問はですね、「意味の有る長い活動」をしている〈GARGOYLE〉。
僕もイベント13年目なんですけど、若い時って『長くやればいいってもんじゃねえだろ!!』って生意気にずっと思ってたんですよ。
先輩方を見てても『早く引退しろよ。俺の時代なんだよ。』って言ってたんです。
勿論、僕自身も「格好良い引き際のタイミング」は最近ちょっとだけ考えています。
でも自分がその立場になりつつ有る今に振り返った時『“意味ある長い活動”って有るんだな!』って最近やっと気付き始めたんですよね。
僕なら仕事始めた時なんですけど、バンドとして結成当初は不定していた「事柄」とか「考え方」を、今なら「取り入れても良い」って事は有りますか?
わかりにくい質問なんですが、僕だったら数年前まで「パソコンの文化全般」が嫌いだったんです。
『何で服をパソコンで買うの?お店で買えばいいじゃん。無料で触れれるし、着れるのに』って思ってたんですけど、今は逆に自分達を気に入ってもらってる人達に、そのサービスをしないのは『俺の勝手なマスターベーションでしかない!』って思ったので取り入れたんですけど。そんな感じでバンドして何かあったりしますか?
KIBA
沢山あると思いますよ。
具体的に1個思いついたのは、バンドやり出した時はみんなの約束で『1年間活動したら辞めよう!』って言って始めたんですよ。
● 1年!?
KIBA
まぁ大学生だったのもあったんでしょうけど・・・。
『“1年間したら辞めよう”って言ってたのに、なんで“22年”もやってんやろ?』って凄く最近は思いますね。
その時は大阪でやってて、当時大阪で「1番大きいライブハウス」に『1年して出れんかったらやめようか。』ってメンバー間で言ってたら、何の間違いなのか(笑)3ヶ月位で出れたんですよ。
それで『これ行けんじゃねえか?』って「勘違い」が始まり、その勘違いがずっと続いてるってのが正直な所かな。
僕、今はこれだけ喋ってますけど、バンドやり出した頃は基本的に人と喋るのが「得意」ではなかったので、バンド始めて6年間は「MCした事なかった」んですよね。
● 初期の頃って事ですよね。
KIBA
はい。バンド結成から6年間は歌詞以外はステージ上「一言も喋った事」がなかったですね。
曲中以外はジーっと黙ってて、ギターの人とベースの人が喋ってくれてて、それでギターの人が辞めちゃって、ベースが1人で喋るのはいかがなもんか?って話になって『じゃお前が話せよ!』ってなって、最初は『ウゥ〜』って位の感じで喋ってて、暫くしたら『あれ、喋れんじゃないかな?』と思ってどんどん喋れる様になったっていうか。
そうやって最初は「苦手」でやってなかった事は、凄い多いかもしれないですね。
● その最初の頃に喋らなかった理由ってのは、ライブでMCをする事が苦手というより「格好悪い」っていう感覚だったんですか?
それともただ単に「苦手」だったんですか?
KIBA
2つ有りました。
1個は普段から『そんな喋るの得意じゃないねんから、わざわざ喋らんでも良いやろ』っていうのもあったし、もう1つは僕自身が音楽をよくわからないんで、他のバンド見てて『なんか違うな』って思う事が沢山あった訳ですよ。
その中の1つが「みんな良い事を出そうとしすぎる」と、『それじゃあ、みんな同じ様になるやん』と思って、自分の苦手な部分を苦手やって「隠さずに表に出すべき」だと思ったんです。
僕は喋るのが苦手やねんから、喋る必要は無いって思ったんです。
喋るの上手い人は喋るし、難しい事を言える人は難しい事を言うのは判るんですが、得意では無い人もみんなが無理して良い面を見せようとするから、僕はもっと悪い面を素直に出せば良いのにと思ったんですよ。
なんで、僕は「喋るのは苦手」って思ったから、その事を解ってもらおうと。そういう感じはありましたね。
博美君は初期の頃を多少知ってもらっていると思うんですが、当時は凄く「和風だ!」とか言われてまして。
その理由も凄く簡単で、僕らバンド知らずの中に入ったんで周りのバンドを見て『違うな!』って思う事が多すぎたんですよね。
当時のバンドが大体『洋楽が大好き』、『ワザと汚い(ルーズ)な格好している』、『貧乏臭い』、『頭が悪そう』、『外人の物真似してはるだけ』の様に見えたんですよね。僕ら外国のミュージシャンもよく知らんし、それなら『じゃあ、俺達は“逆”をしようぜ!!』と思って。ちょっと『お金持ってそう』で、『賢そう』で、『外人が見た日本人みたいなの』をやろう!!と思ったんですよね。
だから、当時「和風」なコンセプトでやってたんですよね。
その人等の反対をやった方が良いんじゃないかな?と思って。
● そうだったんですか!僕的に言わせて貰えば、それこそ「ハードコア/パンク」ですけどね。
後にする質問だったのですが、〈GARGOYLE〉ってスタート当初からコンセプトとして「和」を題材にしてるのが、やはり印象的だったんです。
その「和」というテーマを掘り下げれば、勿論1人の人生の総時間で全てを掘り下げる事の出来ない程の長く深い歴史があると思うですよ。
ただ、その「和」というテーマが「呪縛」にならないんですか?
KIBA
あぁ・・・なるほどね。
それは、確かに「呪縛」になる部分はあります。って言うのは、僕らの今現在は「和」っていうのを意識して出す時と、出さない時と分けれる位の感じになって来たから、自分達にとっては別に無いけど。
多分〈GARGOYLE〉を少し知っている人とか、以前聴いていた人とかには絶対にそれを言われる。『あぁー、“着物”のバンドだよね!』とか。
要するに僕達自体よりは、「イメージとしての呪縛」は常に有る。ただ、それをやってきた事を「否定」しても仕方が無いしね。
だから、今回みたいなアルバムの時はわざと「和」にしちゃうんんですよ。『“和”な感じの衣装にしましょう』といった感じでやって、アルバムとアルバムの間にあるツアー衣装とかは全く「和」を感じさせないものにして、「リリースツアー」と「リリースツアーじゃない」時を「対比」でやって行く様な感じにしてますよね。
だから「パブリック(媒体)」に出るタイミングはだいたいアルバムリリース時なので『ずっと“和”を続けてます!』っていう振りをしてるんですが、案外やってないです(笑)。
その「一瞬だけ」なんでよね。やってるのって(笑)
● なるほど。確かにその方がリアルですし、健全だと思います。
続いての質問なんですが、最近の世間一般で否定的な事を言うのはいけない様な風潮というか、テレビやラジオとか雑誌でもそうなんですが、『これってNOだよね?』って言う発言が厳しくなっている状況じゃないですか?
「無記名/無責任」のネット社会は別ですけど。
先日も某テレビ番組で〈ダウンタウン〉の松本さんが出ていて、『最近の松本さんて、つまんないよね。』って言われる時があって、松本さんが思うのは『俺が本当に面白いと思う事がテレビで出来ないんだよ。何でも規制、規制って!』という風に言ってたんですよ。
KIBA
だから、彼は「映画」なんだね。
● そうです、それで彼曰く『映画に逃げた訳じゃないけど、映画だったら今でも発表を出来るから』という発言が有ったんですね。
今、KIBAさんの中で『これはダサイだろー』とかっていう今の風潮ってありますか?
僕って、全体的に今1番注目されているのは世間一般でいう「グレイゾーン(無難)」がもてはやされている様な風潮を凄く感じるんですよ。
それが凄い嫌なんですよ。存在は肯定してますが『“無難”なものが1番格好良い!!』みたいなのって、最低だと本当に思う。
KIBA
それ、多分「不景気」だからだね。
景気良かったら2ndとか3rdの物まで手が出せるじゃん。
でも景気が悪いって事はトップの物(ポピュラーな物)しか手に入れられないから、当然その繁用出来るものを手にしたがるから、『それが一番良いって事にしとこうよ』って話じゃない。
それで今もてはやされてるじゃないかな?
それこそ、僕等みたいな音楽は景気が良い時に「3番目のCD」として買ってもらえるものやと思ってる。
1番景気の良い時は流行ってる物を購入してもまだ、お小遣いの残りが一杯じゃん。
んで2番目の誰かを買って、3番目位に来る立場やと思うのね、僕。まあ「マニアックな物」というか・・・。
だから今はこんな時期やろうなぁ〜って思って、やってるけどね。
● それなら、音楽シーンとして『こういう“バンドの風潮”は良くないよなー』ってのありますか?
音楽やってて「表現する場所」を確保されているのに、『なんでそんなダサイ事するの?』って事が最近は多々有りますが。
KIBA
僕の知ってる音楽のシーンは凄く狭いから、他のシーンの人はよくわからないですけど「ヴィジュアル系」の人達とは、よく絡むからわかるんだけど基本的に「歌詞は駄目」だね。殆どが「駄目」だと思う。
ろくなもんじゃ無いと思ってるし、僕は「自分の歌詞が日本一」と思ってるんです。
自分で『これが日本一だ!!』と思ったから「世の中に出した訳」で、他にも日本一と思っている方が何人おってもいいんですけど、『これより良いもんが有る訳ない!』と思ってるし。
たまにライブとか一緒にさせてもらったバンドの歌詞とか聴きますけど・・・
わかりやすく言うと、どうかな?・・・
今って「万葉の時代」だよね!万葉集って「ラブ・ソング」ばっかりじゃん。
でもその後の「松尾芭蕉」とかが登場する時代には、もっと「大切な事を言おう」としてたと思うんでけど・・・。
多分「万葉の時代」だから、『誰が好き/嫌い』とかしか言ってような感じだよ。そういう「ラブ・ソング全盛」に対しては、僕は否定的かな。
● 確かに多いですよね。ラブ・ソング。
あとリスペクト気持ちなんて、これっぽっちも無い「リバイバル・ソング」も凄い多いし。
あっそうです。〈GARGOYLE〉はブックレットが「右開き」なんですよね。
一般的にCDって「左開き」が多いんですけども、『何で“右開き”ってなんでなんでか?』ってインタヴュー前に聞いたら、『歌詞に関しては“縦書き”で表記したいんだ。“横書き”って僕は凄く"軽く"感じるんだ!』っていう風に教えてもらったんですけども、是非1度、曲を聴きながらでは無く、歌詞だけを読んでもらうと、また新しい感覚で歌詞の世界観に入っていけるというか。
「本」と思って読んでもらうと凄く面白いと思うんですよ。
KIBA
僕ね、理想としては「文学史」に近づきたいと思うんだけど、やっぱり歌詞ってのは「サビ」があるとか、「繰り返さなければいけない」っていう「縛り」があるので、そこさえ超えらたらもうちょっと「文学史」になれると思う。
● それこそ、いづれはそういう小説等の書物にドップリやってみたい!!作品として出していきたいって気持ちは有るんですか?
KIBA
無いです。(キッパリと即答)
● あくまでも曲の中、バンドの中の「言葉」としてメッセージを世間に伝えたいと言う事ですか?
KIBA
というよりか僕は〈GARGOYLE〉続けている理由の1つだと思うんですけど、『今いる場所で出来ない事が、他の場所に行ったところで出来るわけが無い!』と思うですよね。
〈GARGOYLE〉の中で、それが出来る様になりたい。
さっきの否定的の中の一つに、みんな「再結成」ってよくするでしょ?それでお客さんが沢山戻って来る「事実」も有るんですけど。
僕等、残念ながら22年間「コレしか」した事がないので、解散とか活動停止とかした事ないから、再結成が出来ないんですよ。
『みんな良いよなぁ』とかよく思います(笑)けっして『僕達ずっと続けてるのに・・・』とか思ったりでは無いけど〈GARGOYLE〉を辞めずに続けてきた理由の1つは『ここで出来ない事は、他に行っても出来ないよ』って思っちゃうんですよ。
『多分やれる事は、今いる場所でも何でも出来るはずや!!』って思うから。
それが僕やったら〈GARGOYLE〉やろうし、ちょっと良い事を言うけど、普通の仕事してる人やったら『そこやろう』って思う。
だから若い子で、バンドを直ぐに変えちゃう子とか見てて、『そこで出来ないなら、他に行っても出来ない!やめてまえ。』って思いますね。
● 今の世間って、それこそバンドでも仕事でも「短命」に考えてる。それは海外でもそうなんですけど。
僕も凄い近い言葉で、『なんで遠藤博美は“新潟”に居るんですか?東京でしないんですか?新潟が大好きなんですか?』って言われるんですが、『そんなつもりは毛頭無いんだよね。僕が今いる所で一生懸命やっていれば、それで良いと思ってるから、僕が長野県にいようが福島県にいようが同じ事をやってるよ。
“場所”じゃなくて、その人が“どういう表現をしてるか?”だけだと思う』って事を言ってるんです。
どんなに大きな重箱の中に中心では無く端っこに有ったとしても、その球体が光ってさえいれば必ず気付かれるって思っています。
KIBA
良いね。良いね。
● 是非、これを読んでる皆さんも悩みとか色々あるとは思いますが、数有る考えの1つとして「チョイス」としてもらえればな。と思います。
まぁ、ただ単に天の邪鬼な人間なんですけどね(笑)
KIBA
そうですね。でも人って、それが「大事」なんだと思います。
● そう言って頂けるのは、光栄ですし嬉しいです。
これは恒例の質問になります。音楽についてなんですけど。
〈GARGOYLE〉の・・・これ多分、無理ですねー(笑)
一応言っていいですか?多分『わかんない!!』って言うと思います。
〈GARGOYLE〉のナンバーのみ演奏するスペシャルカバーバンドのメンバーをチョイスしてほしいんですけど・・・。
KIBA
今度(川崎クラブチッタでの通算1000本目!!記念ライヴ/終了済み)やってもらうんですよ。「20周年記念」の時もやって貰って。
別にその人達で良いです!理想です。
● ありがとうございます(笑)
最後にこれ海外アーティストにもよく聞く質問なんですけど、日本に昔からある人間の感情表現で「喜・怒・哀・楽」があります。
僕自身として1番影響力ある感情は「哀」で有り、全ての行動に大きく関わってくるんですが、KIBAさんの中でどの感情がインスパイアされますか?
KIBA
「怒」です。「怒り」ですね。
● やはり「怒り」ですか。
KIBA
はい。多分物事に対して怒るとか、否定的な気持ちってのは「物を作る」には、もの凄く力になる。
肯定的なものも勿論、歌詞にはするんですが凄い「難産」なんですよね。楽しい気持ち/気持ち良いってもの、新作(黒密典)は割と多く歌詞にしてみたんですけど、それよりは『チッ、これは何だ!!』って怒ってる感情や事柄ってのは、物を制作する上で「もの凄い力」になる。
「嫉妬」とかに代表される自分の中に有る「汚い物」の方が力になると思います。
● 作品だからなんですかね?「対人間」に対して嫉妬とかを表に出して表現しようとすると、醜い部分というか怖い部分になっちゃうじゃないですか?作品だと美しくなるからこそ「怒」になるんですかね?
KIBA
「怒」だと思いますね。物を作るって事に関しては。
普段の僕は穏やかな良い人だと少なからず思っていますからね(笑)。
まぁ、普段の全てが「作品を作る為に生きてる」所があるから、そう考えると普段起きた事が作品になって行くと思います。
● わかりました。
では最後に、これを読んだ昔からのファンは当り前なので、新たにこれで〈GARGOYLE〉を知った方に、一言メッセージをもらえますか?
KIBA
僕等は4人でやってるんですけど、音楽って聴く人達がいないと「存在しない」のと一緒でしょ?
創り出す人と、聴く人の「“間”に有るもの」が音楽みたいなものなんで、普段から「5人」でやってる様なもんかな?と思うんですね。
『4人+聴く1人』
その5人目の〈GARGOYLE〉が日本に10,000人、或いは20,000人いるのか判らないけど、『君も5人目の〈GARGOYLE〉にならないか!!』なんちゃってね(笑)
これでいかがでしょうか?
● ありがとうございます!!
僕の個人的なボーナストラック的な質問なんですけど、今日のインタビューどうでした?
『HIROMIちゃん大好き!!』
● ありがとうございます!!!僕も烏滸がましいですが、KIBAさんが大好きです!!
<あとがき>
そんな感じで終了した50分に渉る「ロング・インタヴュー」でした。
冒頭の深々と挨拶をする件ですが、他の方の挨拶は当然してくれます。それはサポートする「事」に対する挨拶です。
嫌な感情は全く感じませんし、それが当然だと思います。
しかし、KIBAさんに感じたのは「僕個人」に対しての挨拶だったんです。
終わった後も「その事」が頭から離れませんでした。いつか僕達のイベント「COLOUR SCENE」で共演してもらえたらとお伝えしてお別れをしました。
次回のライヴはこのインタヴューを読んだ沢山の「5人目」と会場で一緒に楽しめたらなと思います。
有り難うございました。
アイテム