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CULTURE / カルチャー

川嶋未来 (SIGH) / INTERVIEW

1990年に結成し、1993年に海外でファーストアルバムをリリース(しかもDeathlike Silence Productions:MAYHEMのユーロニモスが設立したレーベルで、9枚のみのリリースで消滅した。理由は有名はユーロモス刺殺事件の為)し、 2012年の今年に最新アルバム「IN SOMNIPHOBIA」をリリースしたばかりの世界的に地名度/クオリティーがトップランクのブラックメタルバンド<SIGH:サイ>の川嶋氏にインタビュー。


可成りの傑作&大作です!!


Interview. 川嶋未来(SIGH) Interviewer. 遠藤博美(SIDEMILITIAinc. 代表)


 

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● 先ず、どんなロックでもリスナー全般が求める最初のカタルシスは「激しさ/衝動」だと思います。


それはどんなジャンルでも同じだと思うんです。


で,その中でもハードコアやパンク、メタルなど様々なタイプが有りますが、根本として 何故に「BLACK METALのカタルシス」を選んだのか教えて貰えますか?


SIGHが始動した時代で80年代後期〜90年代前期を考えたら、グラインドコア/デスメタルブラックメタルが同等のカルティック且つリアルな凶暴性や異質な文化だったので、選ぶ事も可能だったと思いますが。


僕は聴く側であり/DJなので、当時も3つに惹かれましたし、リアルな激しさを他者に提供する/共有する 時に幅広く選んで、DJだったら選曲を出来ますが…


 

  KAWASHIMA


そこは理由は明確で、1980年代中期に「最も多感な十代」を過ごしたからです。


丁度「スラッシュメタル」という音楽が出てきて盛り上がって、 毎日学校では、105円の半ライスコロッケだけを食べて、食費をセーブし、


貯まったお金を持って金曜日に、新宿のレコード屋にスラッシュのLPを買いに行くのが本当に楽しかった。


例え、買ったLPが今一つ気に入らなかったとしても、次の金曜日までは我慢して聴き続けるしかない。


そうすると最初は今一だと思っても、聴いているうちにトンデモなくハマっていく…好きなり、夢中になる。


そんな経験を良くしました。


※ 僕の注釈…このくだりの件は全く僕も同じ経験をしています(笑)その時は雑誌すらカルトな激しいバンドの情報が入りづらく、ジャケと曲名の残酷性と収録曲が多い…つまり速い曲だから沢山収録出来るって推測して選んでいたんです。お金が無いからとにかく聴き続けるしかなかったなぁ…<Possessed>とか色々と有ったなぁ(笑顔)


だから今の「ネットで視聴して買うかどうか判断する」というのも良し悪しだなあと凄く思います。


そして80年代も後半になってくると「デスメタル」や「グラインドコア」が出てきて、もちろん<Napalm Death>や<Morbid Angel>、<Terrorizer>なんかには心底びっくりしました。


でも、90年代に入って、自分でバンドをやろうという段階になった時に、リアルタイム(当時)のシーンに何だか付いていけないというか、しっくり来ない部分が増えてきたんです。


「ギター何音下げ?」が挨拶みたいになってたり、イーヴルな、あるいはサタニックなイメージは完全に時代遅れと見なされてて、何か自分が好きだったスラッシュメタルの世界ってどうしちゃったんだろう…


っていう漠然とした感触があったんです。


※ 僕の注釈…この辺は1990年にリリースした<Pantera>の衝撃的なアルバム「COWBOYS FROM HELL」がシーンの大きな転換となった時の辺りを指していると思います。それ程に当時はあのアルバムによって音楽性やサウンド自体 含めシーン全てが激変したのです。


まぁ、そのおかげで当時はスラッシュのLPが100円とかで、いくらでも買いまくれましたけど。


そして決定的だったのは<Slayer>の初来日公演です。(1990年12月/5作目のSEASONS IN THE ABYSSのリリースツアー)


あれを見て『自分でやるなら、時代遅れだろうが何だろうが “スラッシュメタル”だろ』と思って、それで作ったのが「Requeim for Fools」(1992年リリース)というEPだったのです。


それを世界中のレコードレーベルに送ったところ、興味を示してきたのが<Mayhem>の「Euronymous(故人)1963~1993」だったのです。


※ 僕の注釈…ノルウェーの…いや世界のBLACKMETALシーンを確立した方と言ってもオカシクない伝説的なミュージシャン。あの世界を震撼させた集団「インナーサークル」の中心人物です。


今では信じがたいことかもしれませんが、当時は世界的にフロリダやスウェーデンのデスメタル、もしくはグラインドコア全盛で、80年代スラッシュ、もしくはその様な音楽に影響を受けたバンドなんて論外で、「Euronymous」以外に僕らに興味も持つレーベルなんてありませんでしたが、


何よりも驚いたのは、日本から遥か離れたノルウェーの地で、僕らとまったく同じように、当時のデスメタルのトレンドに疑問を感じ、80年代スラッシュメタルのリバイバルを試みている人たちが存在する事でした……


当時はインターネットもなかったですからね。


それで<Burzum>、<Emperor>、<Enslaved>、<Satyricon>など、当時はまだ「ブラックメタル」という呼称すら認知されていない状態ながら、同じ音楽的思想を持った人たちとカセットテープを交換するようになったのです。


僕らのバックグラウンドが完全に80年代のスラッシュメタルであり、ブラックメタルというムーヴメントが「80年代のスラッシュメタルの復興という側面」を持っていた以上、僕らにとってはブラックメタルという選択肢しか当然ありませんでした。


 

● 成る程!!たしかにそうでしたね。


その時代は日本盤がちょっとだけリリースしたりも有ったのですが、帯にはブラックメタルって言葉は無かったのですよね。


国内で雑誌やお店でも、その辺の音楽をスラッシュメタルやデスメタルに近いってニュアンスの表記や紹介でした。


僕は<DESSECTION>の帯が特に印象的だったんですよ。


次の質問ですが現在、「地方アイドル」って多く存在しますが、共通して『地元の応援が一番厳しい/少ない』と聞きます。


つまり言葉を変えたら「近いからこその偏見が有る」って事ですよね。


これは僕も活動していて凄い共感出来る部分です。


今作も海外からのリリースをしている<SIGH>ですが、 更に大きな規模で考えると、一番距離が近い日本よりも海外で大きく支持を受けているってイメージが浮かび上がります。


この事に対してのジレンマや苛立ちは感じませんか?


僕の規模ですらそれは非常に気持ちを苦しめる要因でも有るのですが…。


 

  KAWASHIMA


私は「地元=日本の応援が一番少ない」という風にはまったく思っていません。


むしろ日本でも正当に支持、応援してもらっていると思っています。


海外で僕らと同じ人気クラスのバンドというと、どのあたりでしょう……例えばレーベルメイトのアメリカのデス・ブラックバンド<Absu>などは世界的に見た場合だと、おそらく僕らとそう変わらない位置にいると思うのですが、


彼らが日本に来て単独でライブをやり、1,000人単位のライブができるでしょうか?


へヴィメタル雑誌にカラーでインタビューされたり、表紙になったりするでしょうか?


そんなことはありえないでしょう。Sighは海外では人気があって、日本では極端に人気がないというのは幻想ですよ。


僕ら程度の海外での知名度のバンドは、日本出身であろうがなかろうが、日本ではこのくらいの知名度ですよ。


僕らクラスのブラックメタルが日本で異常に人気があったら、それこそ「ただのハイプ」であり「ビッグインジャパン」と同じです。


ニューアルバムは「輸入盤チャートの3位」にもなっていましたし、やっている音楽のタイプや海外におけるクラスを考えたら日本国内でも十分な支持をして貰っていると私達は思っています。


 

● そうだったんですね。全くの誤解でしたね。


ただ、やはり凄いと驚くと同時に国内バンドが「輸入盤チャートの3位」っていう、矛盾がファンとしては引っ掛かる所なんですよね。


何故に国内のレーベルがそれに対して反応しないのか?そしてメジャー誌でも、もっとフューチャーしないのか?って部分です。


提案する側の「仕掛けるプライド」がもっと国内には必要なのかなと思いました。それを感じているからこそ僕もご連絡させてもらったんですけどね(笑)


では、これだけ長く活動を続けているからこその近年の音楽性の幅広さですが、上記の質問同様に『初期の様な音楽性 に戻って欲しい!』と願う、ディープなファンも多い筈です(笑)これはどんな音楽家でも言われ続ける事だと思います。


その辺はこの先にまた初期衝動的な作曲制作時の盛り上がり方が必ず有る筈なので、『今はこれが俺達のサウンドだ』といった解答しか出来ない筈ですが、その辺はどう思い、どう気持ちの対処をしているのですか?


 

  KAWASHIMA


その気持ちは勿論わかります。僕自身もファーストが最高だと思うバンドが沢山いますからね。


ライブ見に行っても、ファースト以外の曲やらないでくれって祈ったり。


僕らの場合、「2度と昔のような音楽はやらない」というような強いこだわりを持っている訳ではありません。


ただ常に心がけているのは、過去の作品よりも良いものを作ること。


だからもし、前のアルバムと同じ方向性 であっても、より良いものが作れる自信があれば初期の音楽性に戻ることに何の躊躇もありません。


実際、今回の「In Somniphobia」(2012年リリースの最新作)も、中期のアルバム「Hail Horror Hail」〜「Gallows Gallery」辺りへの回帰と捉える向きもありますし、それも正しいと思います。


もちろんただの回帰ではなく、今の<Sigh>でしか「なし得ない部分」も十分にあってのことですが。


バンドを初めて20年以上、色々と音楽や機材についても勉強しましたし、テクノロジーの進化も凄まじい ものがありますから、バンドとしても物凄く成長したという自負はあります。


なので過去のアルバムを今、再録しろと言われたら、当然「オリジナルを超えるものを作る」自信はあります。


ただしファーストの「Scorn Defeat」(1993年リリース)だけは例外で、あればかりは初期衝動としか言いようのない、高い音楽性、高い技術、最新のテクノロジーを持ってしても再現不可能……


というよりも録り直せば、おそらくあのアルバムの持つ雰囲気がむしろ壊れてしまうであろう何かを持っている作品だと思います。


<Sigh>の場合、『音楽性がアルバムごとに違う』とよく言われますし、それに反論するつもりはないのですが、 「根本に有る部分」ってどのアルバムも共通だと思うんですよ。


だからファーストも好きなら最新作も好きと 言ってくれるファンもいるのでしょうし。


なので、あまり「これが今の俺たちだ!」というのもなくて、『表現したい世界とか、持っている世界観って、どのアルバムもそんなに違わないんだけどな』というのが正直な気持ちです。


 

● 分かりました。まぁファンて僕も含めて我が侭だからファンって言えるのでしょうしね。


では2012年の今、どんな組み合わせでも良いので、「一緒にツアーを廻ってみたいと思うアーティスト」はいますか?


同じ様な音楽性のアーティストではないけど、必ず本当の意味で音楽が好きな方だったら伝わる様な非現実的な組み合わせ でも良いですので。


またどの辺がリンクするか理由も教えて頂けると嬉しいです。


 

  KAWASHIMA


これは難しい質問ですが、単純に若いころから憧れていたという意味で言えば、80年代の<Venom>、<Celtic Frost>と ツアーをしてみたかったです。


どんなバンド、というよりも80年代のヨーロッパやアメリカにおけるスラッシュメタルをリアルに体験できなかったのが非常に残念なので、できればあの時代に一緒にツアーをして、あの時代の空気を感じたかったです。


もっと音楽的な部分で言えば、<John zorn>や<Mike patton>あたりと一緒にツアーをして、僕らの作品の感想を聞いてはみたいですね。


あとは<Frank zappa(故人)1940~1993>とか。


※ 僕の注釈…John zornはサックス奏者でNY前衛音楽の代表的アーティスト。とにかくブッ飛んだ奇才です。Mike pattonはFaith no moreのヴォーカルとして有名。彼が90年代以降のヴォーカルスタイルを一番変えた人物だと僕はリスペクトする神様で奇才です。Frank zappaも音楽の壁が存在しない偉大なるギターリストですが超奇才です。


もはや<John zorn>はこういう作品に興味はないでしょうし、<Frank zappa>に会うことももう不可能ではありますが。


 

● 見事なまでに全て3人とも、単独の活動スタイルの音楽界の超奇才達ばかりでしたね(笑顔)


では、先程ツアーで上げた方達も基本的にそうですが、BLACKMETALバンド特有の事柄が有ります。


それはバンド名義でも実際は一人又は2人だけのプロジェクト的活動が多い事です。


これは音楽性から結びつく精神的な部分(思い入れや追い込み)が大きいからだと思うのですが、実際はどう思いますか?そう考えると、やはりディープで宗教性に近いレベルの重さを感じるのですが。


 

  KAWASHIMA


どうでしょうか……事はもっと単純で、そもそもブラックメタルの始祖である<Bathory>が殆どソロの プロジェクトであったというのが大きいと思います。


そして、それを<Burzum>が引き継いでますよね。


通常は一人でギター、ベースも弾けて、ドラムも叩けて歌も歌えて、なんていう芸当はそうそうと出来る事ではありませんが、ブラックメタル、特にプリミティブ(初期衝動)なものは技術的なハードルが低いでしょうし。


そして、先程も例に上げた始祖である<Bathory>からしてそうですが、「ライブというものを重視していない」というのも大きいでしょう。


そこは精神性に係わってくるのでしょうが、ブラックメタルというのは「大勢で集まって酒飲んで酔っ払って聞くものではない」「一人で孤独に部屋で聞くものだ」という部分であるかと。


そもそも「バンド形態って不経済の極致」ですからね。


一人で家で打ち込みでアルバムが作れるテクノが経済性の極致だとしたら、5人も6人も集まって、スタジオ入ってレコーディング代払って人力でアルバム作るなんて、不経済極まりない。


ライブするにも移動費も宿泊費も全部人数分かかる。そして今度は収入は全部人数割になる。


考え方によってはバンド形態という方が余程に特殊な事をしているのではないかと。


まあそれでも自分は一人で孤独に音楽作るより、不経済でも非効率でもバンド形態が楽しかったですけど。


 

● 「不経済極まり無い」…最もな解答で笑っちゃいました。


では、次の質問はインスピレーションで良いのでお答え下さい。


川嶋さんが『この曲が俺の曲だったら最高だ!』と思う1曲を上げて下さい。又、其処まで思える理由も教えて下さい。


 

  KAWASHIMA


メタルで言うなら<Iron Maiden>「Hallowed Be Thy Name」(1982年リリースのTHE NUMBER OF THE BEASTに収録)ですかね。


へヴィメタルという音楽が、リフというものを中心に成り立つことを鉄則とした音楽だとした場合、あの曲は完璧ですよ。


完璧なリフ、完璧な構成。イントロから最後の盛り上がりまで、文句のつけようがない。


この曲は決して複雑なリフでもなんでもない。複雑なリフを書くなんて何も難しくないですからね。


単純だけど印象的、そしていつまでも飽きが来ない。


あの曲が僕の中では理想です。


 

● では、日本を代表する漫画で「鋼の錬金術士」が有ります。


その中で『この世の全ては等価交換で!手に入る』というような言葉が有ります。


では、質問です。先程の曲を貰ったアーティストに「等価交換」を条件とした<SIGH>の曲を1曲プレゼントして下さい。


どのアルバムに入っている、どの曲になりますか?


もし提示したらそのアーティストの感想はどうだと思いますか?又、演奏したら凄い相性が良いと思いますか?(笑顔)


 

  KAWASHIMA


ありませんね。<Iron Maiden>に渡す曲なんて1曲もありませんよ、謙遜でも何でもなくて。


個人的に今一番<Sigh>で自信のある曲は?と問われれば、ニューアルバムに収録している「Amnesia」を挙げます。


きちんとしたジャズアレンジに基づいたジャジー、かつへヴィな曲で、おそらくあんなタイプの楽曲は過去に存在していなくて、かといって奇をてらっているだけの変な曲でもない。


あるいは、きちんと厳格なフーガの技法に基づいて書いた「Equale」も気に入っていますが、そのどちらも<Iron Maiden>に提示したところであまりに色が違いすぎるというか。


メンバーの<Stive harris>や<Bruce dickinson>に直接会う機会が有ったとしても、こちらから『自分もバンドやってるんです』と言うこともないと思いますよ…存在が遠すぎて。


でも、過去に<Bruce dickinson>がラジオで僕らの曲をオンエアしてくれた事はあったようですが。


※ 僕の注釈…これは英国の国営ラジオBBCで2002〜2010年まで続いた番組の事だと思います。凄いですよね!!


 

● そうですか…僕だったら言う…う〜ん確かに…いや言うでしょうね。小さな声でですけど(笑)


次はこんな質問です。川嶋さんが体感や経験したカルチャー(音楽以外)で、自分達の音楽を体感した時と同じ様な感情に近づける/心の同じ場所に訴えかける様な事柄を教えて下さい。


絵でも映画でも小説でも場所でも何でも構いません。


もしかしたら面白いリンクが見つかるかも知れないので、僕は非常にこの質問の答えに興味が有ります。


 

  KAWASHIMA


まず小説だと、<筒井康隆>ですね。


それもエログロ・ナンセンスな作品では無くて、「エロチック街道」「遠い座敷」のような、夢と現実の中間のようなやつ。


別に怖い話ではないのに何となく怖いというか。


ただこの辺の話は強烈に昭和へのノスタルジアを感じさせるものなので、今の十代、二十代の人が読んで共感できるかどうか自信がありませんが。


※ 僕の注釈…筒井康隆は日本の作家界では「SF御三家」と言われる程のSF系が強い作家で、一般的に有名な作品だと「時をかける少女」だと思います。テレビにもよく出演する方なので顔を見ると分かる方も多いと思います。「エロチック街道」「遠い座敷」共に1981年に発表した短編だと思います。


小松左京(故人)1931〜2011>の怖い作品も良いですね。


「夜が明けたら」や「影が重なるとき」とか。


あとは<高橋克彦>の「私の骨」や「記憶シリーズ」ですね。


記憶シリーズというと、アメリカの<Thomas H. cook>も好きでした。


やたら展開が遅いので読むのが苦痛な人も多いかもしれませんが。


※ 僕の注釈…小松左京は先程の筒井さん同様に「SF御三家」の1人(最後の一人は星新一さん)で、代表作は「日本沈没」ですね。「夜が明けたら」は1974年発表「影が重なるとき:1964年発表だと思います。高橋克彦の代表作は「写楽殺人事件」が断トツだと思います。「記憶シリーズ」は1991年〜から2003年の間に発表しています。「私の骨」は1996年〜1997年辺りの短編だと思います。田口トモロヲ主演で2001年に映画化されています。Thomas H. cookはアメリカ/アラバマ州出身のミステリー作家で、1997年に発表した「緋色の記憶」がエドガー賞を受賞した代表作です。


もっとメジャーなところでは、<鈴木光司>の「仄暗い水の底から」。


あれは映画が下らなかったせいで敬遠している人もいるかもしれませんが、原作は水に纏わる短編集で、不気味な雰囲気が見事です。


基本的に幻想小説が好きなのですが、小説については知らないことも多いので、逆にこれはという作品があれば、内外問わずぜひ教えていただきたいです。


※ 僕の注釈…鈴木光司の代表作は云わずも知れた1991年の「リング」1995年の「らせん」です。川嶋さんがお進めしている「仄暗い水の底から」は1996年発表の短編作で、2002年に上記の2作品同様に中田秀夫監督の手によって映画化されています。


個人的な原初体験ということになると、<つのだじろう>の漫画も外せません。


「恐怖新聞」や「亡霊学級」などは、子供のころのバイブルでした。


「メギドの火」や「うしろの百太郎」もですが、<つのだじろう>作品は、心霊モノだけでなく、人生の悲哀も描いた名作も少なくありません。


漫画で衝撃を受けたのは、他には<楳図かずお>の「漂流教室」とか。


殆どの漫画が途中までは面白くても、『ラストがなぁ…』というパターンに陥る中、「漂流教室」は最初から最後まで完璧です。


あと<萩尾望都>の「ポーの一族」もかなりの衝撃でした。


これは系譜的には漫画というより幻想小説寄りかもしれませんが。


映画は一番衝撃を受けたのは「Jacob's ladder」ですかね。


1990年の作品で、「ナインハーフ」や「危険な情事」 が代表的な<Adrian lyne>監督作で、世間的にはあまり話題にならなかった…というか、


『危険な情事の監督作品!』という「あおり方」だったので、何もわからない女性が映画館に見に行ってしまい、あまりの怖さに泣きながら帰ってくるというような有様だったような記憶があります。


まあこれ、ぜひ皆さん観て下さいってお薦めするような作品なのかは自信が無いのですが、個人的に大好きなんですよ、「この パターンのオチ」が。


そして本当かどうか知りませんが、本物の死体も多く使われたと噂された位に、過剰に不気味な演出にも大きな衝撃を受けました。


当然イタリアのゾンビ物とか、スペインの「ブラインドデッドシリーズ」なども好きなのですが、どれか一本お勧めの映画と言われると、「Jacob's ladder」を挙げたいです。


※ 僕の注釈…「BLIND DEADシリーズ」は1971〜1974年に公開されたホラー映画で4作品有ります。グロいとかでは無く凄い今見返すと凄いアート性が高い映像で格好良いです。BOXセットがお薦め!!


絵に関しても、やはり不気味なものが好きなので、「シュルレアリスム」辺りの時期のものを好みます。


一番好きな画家はベルギーの<Paul Delvaux>ですね。


これは「筒井作品」が好きなのに繋がるというか、はっきりした理由はわからないけど、見ていると不安感を掻き立てられる、


明らかに現実の描写ではないが、完全な空想でもないという、美しいけどそこはかとなく恐ろしい、私の一番好きなパターンです。


※ 僕の注釈…芸術の形態を表す言葉で、主張の一つ。日本語では超現実主義と訳されている。1924年から使われた説が有り、画家で一番有名なのは僕も大好きな<Salvador dali>や後期の<Pablo picasso>など。


まぁ、後は月並みですが<Arnold Böcklin>の「ヴァイオリンを弾く死神のいる自画像」「死の島」とか。


日本のものでは圧倒的に<歌川広重>の「平清盛怪異を見る図」ですね。


これは私達のアルバム「Infidel Art」のジャケに使ったものですが、あれを展覧会で初めて見た時は衝撃でした。


一見美しい雪景色なのに、よく見るとそれがすべて髑髏であるというギャップ。


まさに<Sigh>でやろうとしていることそのままだと思いました。


※ 僕の注釈…Arnold Böcklin(1827〜1901)は19世紀のスイス出身の象徴主義を代表する画家で、歌川広重(1979〜1858)は、多分日本で最も有名であのゴッホにすら影響を与えた浮世絵士。「東海道シリーズ」は誰もが見た事がある筈です。


 

● 長くなりましたが、今回のこの「SIDEMILITIA inc.とのコラボレーション」やインタビューの感想を頂けますか?


そしてこのコラボで初めて知り、音楽に触れた方達にもメッセージをお願いします。


 

  KAWASHIMA


お世辞ではなく、とても楽しいインタビューでした。


大抵インタビューというと、音楽についてが中心になり、あまり「小説や絵の話」をする機会はなかったですし、海外の媒体のインタビューが多いので、そこで『小松左京が…』などという話をするのも難しいですからね。


僕らがやっている音楽はエクストリームメタル=極端なメタルなので、特にそういうジャンルに詳しくない 方や興味の無い方が聴いてみて、


「うわー、これいいねー」というようなものでないとは思いますが(もし皆に受け入れられる、もしくは受け入れられたいと思っているならば、そんなものはエクストリームでも何でもない訳ですしね)


今回お話させて頂いたような世界観に興味、共感を持たれる方がいらしたら、ぜひ一度、僕らの最新作「In Somniphobia」を聴いてみてください。


Tシャツのコラボレーションも、まったく初めての試みなのでとても楽しみです。


もし僕らのやっていることに興味をもたれたら、ぜひtwitterでもFacebookでも、積極的にコンタクトしてください。


 



 

 

 














 

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